月探査機ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)が、このほど、アポロ14号のサターンロケット3段目が月に衝突してできたクレーターを撮影することに成功しました。
アポロ宇宙船を打ち上げたサターンロケットは3段式のロケットですが、その3段目が、サターンIVB(IVはローマ数字なので、サターン・フォー・ビー)です。
このロケットは司令船を月軌道まで運んだあと、1971年2月4日、月面へ衝突させられました。これは、月の表面で地震(月震)を起こすという目的がありました。地震を起こすことにより、その地震波がアポロ宇宙船が運んでいった地震計で捉えられ、その伝わり方から、月の内部構造がわかると考えられたからです。実際に、その衝突による地震波が、月の地震計に記録されています。

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上の写真の真ん中にある、真っ白な点になっているはっきりしたクレーターが、その衝突跡です。直径は約35メートルです。クレーターのまわりには飛び散った破片でできた白い筋が約1.5キロメートル以上にわたってついています。
なお、このときのロケットの衝突速度は時速約9100キロメートル(秒速で約2.5キロメートル)で、エルクロスの衝突とほぼ同じくらいのスピードです。衝突時の重さは約14トンありました。衝突の際のエネルギーは10トンのTNT火薬の爆発に匹敵するものと見積もられています。なお、これに比べると、エルクロスで最初に衝突したセントールロケット2段目は、その7分の1くらいの重さしかありません。
Photo: NASA/Goddard Space Flight Center/Arizona State University
・LRO Sees Apollo 14’s Rocket Booster Impact Site (NASA: 英語)
  http://www.nasa.gov/mission_pages/LRO/multimedia/lroimages/lroc_20090929_apollo14sivb.html
・ルナー・リコネサンス・オービター/エルクロス (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/topics/LRO/