NASAが開発している月探査機、ルナー・リコナイサンス・オービタ(LRO)は、いよいよ、打ち上げ場所のアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターに向け、メリーランド州グリーンベルトにあるゴダード宇宙センターから、トラックで2日間の旅に出発しました。
LROはこのゴダード宇宙センターで、約2ヶ月にわたり熱真空テストを受けてきました。この間探査機は宇宙空間を模擬した高温と低温の環境で、試験されていました。
この衛星による探査は、NASAの、宇宙飛行士を再び月へと降り立たせるという計画の第一歩となるものです。LROは少なくとも1年間低高度の軌道で観測を行い、さらにおそらくは3年以上にわたり、月及びその周辺環境に関するデータを得ることになります。
探査機には7つの科学測定機器が搭載され、科学者が月の地図を作成したり、月の地形や日照、鉱物組成、資源についてより詳しい理解を得るための情報を提供します。LROにより得られた情報は、将来月面基地(lunar outpost)を建設する際に、安全な着陸地点や建設場所を選ぶのに役立てられます。また、宇宙飛行士が放射線から受ける危険を最小限にすることにも使われます。今回の探査では、月の極地域が重要な探査地点として考えられています。これは、極の一部の領域には、永久に陰になっている領域があり、また逆に、太陽光が常に当たっている領域があると考えられるからです(訳注)。
LROの計画副責任者のキャシー・ペディー氏は、「これはLRO計画に加わっているすべての人が、4年間にわたって一生懸命働いてきた結果である。LROはいよいよ打ち上げ場に向かい、姉妹探査機であるLCROSSとの一体化を行うことになる。そして、アトラスV型ロケットの先頭に収められ、月への出発の時を待つのだ。」と語っています。
LROの探査機器は過去のNASAの惑星探査機からの資産を受け継いでおり、NASAの科学ミッション決定会議で研究段階へ移行することが決まってから、1年のうちに開発が終了しました。
LROには、月クレーター観測・検出衛星 (Lunar Crater Observation and Sensing Satellite)、略してLCROSSと呼ばれる衛星が一緒に搭載されています。LCROSSは月のクレーターに衝突し、そこから巻き上げられるちりや蒸気などを観測し、表面の物質や氷のありかなどを測定します。LCROSSはカリフォルニア州モフェットフィールドにある、エームズ研究センターで開発が進められてきました。
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/feb/HQ_09030_LRO_Ships.html