韓国月極軌道探査機 (KPLO: Korean Pathfinder Lunar Orbiter)

2022年打ち上げ予定の韓国の月周回衛星の想像図

2018年末打ち上げ予定の韓国の月周回衛星の想像図。合計で5つの機器を搭載し、そのうち4つが韓国、1つがNASAのものとなる。(© KARI)

韓国月極軌道探査機(KPLO)は、韓国がはじめて製作した月・惑星探査機です。2022年8月に打ち上げられ、1年間にわたって月を周回しながら観測を行う予定です。
なお、打ち上げはアメリカ・スペースX社のファルコン9が使われます。

探査機の目的は、月探査の技術実証、月面の情報(地形情報、構成物質の情報)の獲得、宇宙開発技術の実証などです。

探査機は重さが550キログラム(燃料含まず)と比較的小型です。
探査機に搭載される科学機器は合計5つで、

  • 月地形イメージャー (LUTI: Lunar Terrain Imager)
  • 広角偏光カメラ (PolCam: Wide-Angle Polarimetric Camera)
  • 磁力計 (KMAG: Magnetometer)
  • ガンマ線スペクトロメーター (KGRS: Gamma-Ray Spectrometer)
  • 極地域撮影用高感度カメラ (ShadowCam)

です。科学機器の合計重量は40キログラムです。

このうち、極地域撮影用高感度カメラは、NASAによって開発されました。月の極地域に存在する「永久影」領域には水が氷の形で存在するといわれていますが、永久影といわれるだけあって非常に暗く、普通のカメラで撮影することができません。このため、非常に高感度のカメラを搭載し、永久影領域の撮影に挑みます。月の水の存在の有無、さらにはその量の推定にも役立つことが期待されます。

地球から打ち上げられたあと、探査機は燃料の節約を兼ねた複雑な軌道を経て、12月に月に到達する予定です。月上空は高度100キロメートル(日本の月探査衛星「かぐや」とほぼ同じ高度)で周回し、観測を行います。1年のメイン観測期間を終えたあと、もし探査機に問題がない場合には延長観測期間に入り、高度を若干下げて70キロメートルで周回します。

韓国は以前より、月探査機の開発を目指してきました。2010年代初頭から開発が進められ、朴政権下で開発が加速しましたが、その後文政権下では開発が停滞していました。NASAとも月探査では協力協定を結び、その一環で今回カメラが搭載されます。
2022年5月に、探査機は「タヌリ」と命名されました。これは一般公募で集められたもので、「月を楽しむ」という意味の造語です。

月探査情報ステーションブログでは、これまでも韓国の月探査に関する記事を掲載してきましたが、現時点ではまだこのKPLOのカテゴリーとしてまとめられていません。もう少々お待ち下さい。ブログのトップページで「韓国」で検索すると、これまでの韓国の月探査衛星開発についての記事をみることができます。


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