昨年12月、中国の月探査機「嫦娥5号」が月からのサンプルリターンに成功しましたが、その次の嫦娥6号についても準備が進んでいると、 AFPBBが伝えています。

記事によると、中国の月探査プロジェクト総設計師である胡浩氏が、嫦娥6号について、2024年前後の打ち上げを目指すと述べたとのことです。
なお、同様の内容を新華社(英語版)も伝えています。

記事によると、嫦娥6号は嫦娥5号に続くサンプルリターン機で、月の裏側、南極-エイトケン盆地への着陸を目指すとのことでした。ただ、一口で南極-エイトケン盆地といっても直径は2400キロもありますから非常に広く、そのどこに着陸するのかということについては記事では述べられていないようです。

嫦娥計画は一定の「法則」を持っています。奇数号機(1・3・5号機)は新しいことにチャレンジするための機体で、偶数号機(2・4・6号)は、奇数号機のバックアップ機として作られた機体で、もし奇数号機が問題なく成功した場合にはさらに挑戦的なミッションを行うというものです。
例えば、嫦娥1号・2号は周回、嫦娥3号・4号は着陸という共通のミッションがありましたが、嫦娥1号の3年後に打ち上げられた嫦娥2号は月着陸の後小惑星探査という深宇宙ミッションを実施しました。嫦娥3号のあとの着陸機である嫦娥4号は月の裏側への着陸という史上初の試みを実施し、無事成功しました。このように、嫦娥6号は嫦娥5号の成功を受けて、より難易度が高いミッションに挑戦することになるとみられます。月の裏側からのサンプルリターンはそれにふさわしいものといえるでしょう。

なお、奇数号機と偶数号機の打ち上げ間隔ですが、嫦娥1号が2007年、2号が2010年で3年間隔、嫦娥3号が2013年で嫦娥4号が2018年なので5年間隔であることを考えると、2024年という打ち上げ目標は妥当であると考えられます。

記事ではさらに、その後の計画である嫦娥7号・8号についても触れられていました。これについて新華社の記事では「月資源探査、科学研究、技術試験」(原文では”lunar resource exploration, scientific research and technological experiments”)を行うと述べていますが、具体的なミッションは明らかになっていません。
中国は将来的にロシアと共同での月面基地建設を目指しており、嫦娥7号・8号がそのための先駆的なミッションになる可能性があります。打ち上げ時期は2020年代後半となるかと考えられますが、以前の報道では月面基地建設を2030年を目標に進めるという話がありましたので、もしその目標が現時点でも有効であるならば、7号・8号はかなり急いで打ち上げることになることになりそうです。

このあたり、2020年代後半の中国の月探査についてはまだ流動的な部分もあるかと思いますので、将来的な情報を待ちたいと思います。