はるばる火星から地球へ

これまでに地球上で発見された隕石は約2万個ありますが、そのうち12個が火星起源の隕石と推定されています。火星隕石のリストを以下に示します。火星起源と推定される根拠は、隕石中に含まれている気体の成分がバイキング探査機 (1976年火星着陸)により分析された火星の大気に似ているということです。したがって、これらの隕石が火星隕石と認められたのは最近のことです。
では、どのようにして地球へ届いたのでしょうか。それは、火星に小惑星などが激突した時に火星の岩石が宇宙空間にはじき飛ばされ、それが宇宙を漂う内に地球に落下したものと推定されています。

火星隕石
隕石名 発見場所 発見年 重量 (g)
Chassigny Chassigny, 仏 1815 4,000
Shergotty Shergotty, 1865 5,000
Nakhla Nakhla, 1911 40,000
Lafayette Lafayette,Indiana, 米国 1931 800
Governador Valadares Governador Valadares, 1958 158
Zagami Zagami, 1962 18,000
ALHA 77005 Allan Hills, 南極 1977 482
Yamato 793605 Yamato Mountains, 南極 1979 16
EETA 79001 Elephant Moraine, 南極 1980 7,900
ALH 84001 Allan Hills, 南極 1984 1,939
LEW 88516 Lewis Cliff, 南極 1988 13
QUE 94201 Queen Alexandra Range , 南極 1994 12

 

火星隕石の発見場所
日本は、国立極地研究所がYamato-793605、ALH77005(米国と共有)を所有しています。

隕石は南極がお好き?

これまでに地球上で発見された隕石の8割は南極で発見されています。最近発見された火星隕石は全て南極で発見されています。南極に落ちた隕石は雪に閉じこめられ氷河とともに流れていきますが、山脈により氷河の動きが止まると、氷が昇華した後に隕石が残されます。氷上の隕石は発見が容易です。南極以外での発見が少ないのは、海に落ちたり森へ落ちたりして、発見が困難なだけです。
南極の隕石は1969年に日本の南極観測隊が最初に発見し、広く知られるようになりました。米国なども隕石収集隊を派遣しています。日本では極地研究所が約9000個の南極隕石を収集し、研究を行っています。火星隕石が発見される率は非常に小さいですが、地球上で入手できる唯一の火星の試料として重要ですので、今後も隕石収集が計画されています。

南極で発見された火星隕石【ALH84001】 (NASA)

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