国家機関や民間企業などによる月探査の動きが加速する中、学生たちが自分たちの手で衛星を作り、月に向けて打ち上げるという動きもあります。これらの動きは、宇宙機関に支援されたもので、教育がもっとも大きな目的となっています。

・ヨーロッパ
ヨーロッパでは、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の教育部門が支援して、学生が作った月探査衛星を打ち上げるプロジェクトが進んでいます。
ESAの教育部門が設立したSSETI(Student Space Education and Technology Initiative)では、学生たちに小型衛星を作らせて、宇宙技術に関する教育を進めています。ここでは現在、ESMO (European Student Moon Orbiter)という、小型の月周回衛星を作り、2011年をめどに打ち上げようという計画が進められています。ESMOプロジェクトは2006年に始まりました。
SSETIには200名ほどの学生が所属しており、インターネットなどを通じた情報交換を行いながら、衛星の設計や製作を進めています。

・アメリカ
同じように、アメリカ航空宇宙局(NASA)でも、教育プログラムの一環として学生による月探査衛星の計画が進んでいます。こちらはASMO (American Student Moon Orbiter)と名付けられています。

・日本
日本では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公式に支援している学生月探査衛星計画はまだありません。しかし、宇宙工学を専攻する大学間のネットワークであるUNISEC (大学宇宙工学コンソーシアム)の学生組織であるUNISON (UNISEC Student Organization)で、検討が始められました。
このプロジェクトでは、重さが100キログラムを上限とし、月の極軌道を周回する衛星を設計することを目標としています。