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月を知ろう

月に関する研究発表
第2回パネルディスカッション「月面車」


No. 21 2001年01月24日【水】19:47 寺薗 淳也
 寺薗です。もう1つ。

 あまりレスポンスができない罪滅ぼし、というわけではないですが、以前お約束していたローバに関する「ポータルサイト」の原型を作ってみました。
http://moon.nasda.go.jp/ja/symp/2000/symp2/rover.html
 また、パネルディスカッションのトップページからもリンクを張ってあります。

 今のところ、中身は市川さんがまとめられた月面ローバに関しての情報源をまとめたものだけになっています。これからは、これまでにこのパネルディスカッションで取り上げられた話題を掲載するなど、徐々に内容を広げていきたいと思います。

 「こんなことを取り上げて欲しい」「こういうことが(月面ローバで)できるのではないか」というようなお話がありましたら、この下の投稿欄から、お気軽にご意見をお寄せください。

No. 22 2001年01月26日【金】14:58 市川 誠
市川です.

先にAIについてコメントをいただきました神奈川県在住の男性から,次の20のコメントに対して追加参考情報の紹介がありましたので,そのまま,掲載させていただきます.

* * * * * ここから * * * * *

Deep Space 1で実験されたAI技術応用のリモートエージェント(RA)専用のホームページは

http://rax.arc.nasa.gov/

です。RAに興味ある方は是非覗いてみて下さい。多くの関連技術論文がダウンロードできます。そのなかに火星ミッション向け自律ローバーへのRA応用がありました。タイトルは以下の通り。NASAが有人火星探査に向けた準備でしょう。

Autonomous Rovers for Human Exploration of Mars.
John Bresina, Gregory A. Dorais, Keith Golden, David E. Smith, Richard
Washington. In Proceedings of the First International Conference of the Mars Society, Aug/98.

* * * * * ここまで * * * * *

有人火星探査の関係で少し補足説明させていただきます.

このペーパーが発表されたthe Mars Society (http://www.marssociety.org/ )は国内でも評判になった「マーズ・ダイレクト」の著者のロバート・ズブリンが中心になって1998年に設立されました.
 1998年は前年のMars Pathfinderの成功,Mars Global Surveyorから送られてくる画像から,火星探査の機運が非常に高くなった時期でした.この時,JPLとJSCは協力して,JPLの火星探査プログラムを有人火星探査ミッションのためのプリカーサミッションとして位置付け,有人火星探査を行うのに必要な火星の環境測定などをはじめとして様々な探査を行うことを考えていました.そしてJSCが有人火星探査の研究に関する協力を各国の宇宙機関に呼びかけた時期でもありました.NASAのAmes研究所は先に紹介しましたローバ関係の研究を行っていることもあり,紹介していただきました発表を行ったと考えられます.(有人火星探査ミッションはJSCのインハウスの研究で,将来のミッション提案を求められた時に対する準備という位置付けです.)
 しかし,1999年のMars Climate Orbiter,Mars Polar LanderとDeep Space 2の連続した火星探査ミッションの失敗によって,NASAは火星探査ミッションのシナリオの大幅な見直しを余儀なくされました.

Mars Exploration Programについては次のサイトが参考となります.

http://marsweb.jpl.nasa.gov/

Mars Odyssey 2001 Orbiter は今年の4月7日に打ち上げされ,10月20日に火星に到着の予定です.
2003年のミッションでは2台のローバ送られる予定で,
"Using images and spectra taken daily from the rovers, scientists will command the vehicle to go to rock and soil targets of interest and evaluate their compositon and their texture at microscopic scales."
と紹介されていることから,これらのローバはSojournerと同様な運転方法が行われると推測されます.

No. 23 2001年01月26日【金】15:23 市川 誠
市川です.

ローバ関係のサイトを続いて紹介します.
既に紹介したものの異なったURLアドレスのものを含みます.

* * * * *

月面の初の自動車,Apollo LRVの試験について記載されています.

Experiment: Lunar Rover Vehicle
http://www-sn.jsc.nasa.gov/PlanetaryMissions/EXLibrary/docs/ApolloCat/Part1/LRV.htm

Apollo LRVの操作マニュアルのコピーがあります.

Lunar Rover Operations Handbook
http://www.hq.nasa.gov/alsj/lrvhand.html

インフレータブルな構造の車輪のローバのサイトです.火星を目指していますが,Titanへの適用も下記のサイトで紹介されています.

JPL Inflatable Rover Program
http://www.jpl.nasa.gov/adv_tech/rovers/summary_overview.htm

Titan Aerover
http://robotics.jpl.nasa.gov/tasks/aerobot/studies/aerover.html

NASAエームズ研究所のローバに関するサイトは紹介しましたが,次のサイトもあります.

http://img.arc.nasa.gov/

K9
http://img.arc.nasa.gov/K9/index2.html

NOMAD
http://img.arc.nasa.gov/NOMAD/nomad.html

Marsokhod
http://img.arc.nasa.gov/marsokhod/marsokhod.html

DANTE II
http://img.arc.nasa.gov/dante/dante.html

LRSRについて紹介しましたが,次のサイトもあります.
LONG RANGE SCIENCE ROVER (Rocky 7, Rocky 3)
http://robotics.jpl.nasa.gov/tasks/lrsr/homepage.html

FIDOのNASAのサイトです.
FIDO
http://fido.jpl.nasa.gov/

MUSES-C搭載予定で中止されたNASA Roverです.captionが落ちています.

MUSES-CN Asteroid Rover
http://www-a.jpl.nasa.gov/pictures/solar/musspccrft.html

No. 24 2001年02月01日【木】18:49 市川 誠
市川です.

さて,パネルディスカッション「月面車」も,次のパネルディスカッション『月旅行』が2月5日から開始予定ですので,まとめに入らせていただきたいと思います.

これまでのパネルディスカッションで
  • 月探査とローバの関係(「有人月探査」の歴史から・・・)
  • ローバに関するサイトの紹介
  • ローバによる月探査ミッションの内容の検討
  • NASAのDiscovery Projectの候補として提案された月の探査
  • 月面ローバへのAIの適用について
に関して,色々と話がでました.
 そして月の内部構造については物理探査の観点から詳しい話を聞くことができました.

 ローバを考える場合,「ローバに何にさせるのか」という目的(科学)の面からの検討,また,「そのローバを実現させるにはどうしたらよいか」という工学面からの検討があると思います.
 昔の科学者は,研究のためにそれまでにない実験装置まで自分で作ってしまい,新しい発見を行っていました.この時は科学者と工学屋は混然としていたように思います.一方,今日のように研究の内容が複雑化し,研究に必要な実験装置を自分で作ることのできる限界を超えた状態となると,「科学者」,「エンジニア」と明確に分業化され,「工学的観点から科学を見る」,「科学的観点から工学を見る」ということが難しくなり,物づくりも要求性能の列挙,という形に留まり,相互理解が難しい状況になっているのでは,と危惧されます.
 そこで月面ローバを対象としたディスカッションが今後も両者の相互理解の場として利用できたらと思います.
 また,今回のパネルディスカッションの成果として「月面ローバのためのポータルサイト」ができましたが,今後も皆さんの参考となるように運営が継続できたらと思います.

永井さん,追記がありましたらお願いします.

No. 25 2001年02月02日【金】14:15 寺薗 淳也
 寺薗です。

 そうですね。ほぼ1ヶ月以上進めてきたパネルディスカッションですが、そろそろ次の「月旅行」に、ステージを譲る時間になってきたようです。
 市川さんには、本当に多数のコメントをいただきまして、ありがとうございました。
また、たいへん重要なご指摘をたくさんいただいて、ありがとうございました。

 市川さんのご指摘の通り、「何の目的で月面ローバを持っていくのか」という点に関しては、まさに科学者からの要求がいちばん切実ではないかと思います。もちろん、月面でローバを試すため、というようなこともありますし、アミューズメント目的ということもあり得るでしょう。
 しかし、技術実証というだけでは、やはり究極の目的とはなり得ません。科学者の「月のクレーターの中央丘まで走れるローバが欲しい」という要求があるから、工学者も必死になってそれを作ろうとするわけです。
 そういったいい意味での要求の出し合いが、これからのローバ、あるいは宇宙探査機技術の発展に寄与していくのではないか…と思います。

 以前のように、科学者が手作りの道具で宇宙の神秘を探っていた時代とは大きく異なり、セレーネのように、重さ2トン以上もある探査機を月に打ち上げるような時代になりました。宇宙科学も大型化、組織化された時代を迎えつつあります。
 互いに顔を突き合わせて机に座って仕事をしていたときは、以心伝心でコミュニケーションがとれていたかも知れません。しかし大きな探査機を作るとなるとそうは行きません。複雑なシステムは、どこかをいじればどこかがおかしくなります。

 持っていって欲しい人と、それを作る人、いろいろな人がアイディアを出していくことが、これからの宇宙探査には不可欠なのではないでしょうか。
 また、それは必ずしも専門家だけではなく、納税者という意味からも、一般の皆さんがその場に加われる(少なくとも、その議論の過程をみることができる)ということが必要なのだと思います。
 このパネルディスカッションは1ヶ月という短い期間ではありましたが、多少なりともその役割のほんの1歩にはなったのかな…と思っています。

 もうちょっとだけお時間がありそうですので、「ローバのポータルサイト」の話はまた、次の発言にしましょう。

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