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ジョルダーノ・ブルーノ・クレーター

〜「かぐや」によるデータの解析〜

■「かぐや」の地形カメラが取得したデータ
「かぐや」にはさまざまな科学機器が搭載されていましたが、その中でも目玉ともいえる機器が、地形カメラ(TC)です。
TCは、月の地形を3次元で把握するために搭載されたカメラです。2つのカメラを持ち、ステレオ視(人間の目のように立体的にものをみること)ができます。また、分解能は1ピクセルあたり10メートルと、これまでの月探査機とは比べものにならないほど高精度です。
この地形カメラが捉えたジョルダーノ・ブルーノ・クレーターと、同じ地形カメラが捉えた、同じくらいの大きさのクレーター、リヒテンベルグクレーターとを比べた写真をみてみましょう。

ジョルダーノ・ブルーノ・クレーター
リヒテンベルグクレーター
ジョルダーノ・ブルーノ・クレーター(左)と、リヒテンベルグクレーター(右)の比較。それぞれの画像をクリックするとより大きな画像が表示されます。(Photo: JAXA/SELENE)

■地形カメラがみたジョルダーノ・ブルーノ・クレーター
上の写真をみると、リヒテンベルグクレーターに比べて、ジョルダーノ・ブルーノ・クレーターは、クレーターの縁がきわめてはっきりとしていることがわかります。このことからも、このクレーターができてからそれほど時間が経っていないという様子がうかがえます。
また、さらに細かくみるために、クレーターの内部の様子をみてみることにします。下の図の左側、Dと書かれた場所を拡大したのが、右側の図になります。

ジョルダーノ・ブルーノの周辺
左側D領域の拡大図
ジョルダーノ・ブルーノ・クレーターの中のいろいろな領域(左)を調べる。Dの領域(右)にはいくつかの小さなクレーターが存在する(矢印)のがわかる。(Photo: JAXA/SELENE, from Morota et al. (2009))

地形カメラの高精度画像でみてみますと、矢印で示したように、小さなクレーターがD領域のあちこちに存在することがわかります。
このD領域は、クレーターのちょうど縁の部分、つまり、クレーターができたときに放出された物質が堆積した場所です。つまり、ここにできているクレーターは、ジョルダーノ・ブルーノ・クレーターが形成されてから作られたわけで、このクレーターを数えることにより、ジョルダーノ・ブルーノ・クレーターの年代を推定することができるわけです。

■その結果は…
クレーターは小さなものほどたくさんできます。そこで、クレーターの個数と大きさとを調べて図に表すと、クレーターの直径が大きくなるほど、個数が小さくなる、右下がりの線になることがわかります(実際には対数で表します)。

クレーター直径と累積個数の関係
クレーターの直径と、単位面積あたりのクレーターの累積個数の関係 (Morota et al., 2009)
クリックするとより大きな図を表示できます。

この図が、クレーターのサイズ頻度分布図です。ここでは年代を"1Ka"”1Ma"などと書いていますが、1Kaは1000年前、1Maは100万年前、1Gaは10億年前を表します。
もしハートゥングの仮説が正しければ、クレーターのサイズ分布は1Ka、すなわち約1000年前の分布直線の上に乗るはずです。しかし、「かぐや」データの分析によって得られたクレーターの分布をこの直線に重ねると、一致するのはほぼ100〜1000万年の間であることがわかります。
つまり、「かぐや」データの解析により、ジョルダーノ・ブルーノ・クレーターの形成年代は数百万年前である、ということが明らかになったわけです。すなわち、1178年の衝突は、ジョルダーノ・ブルーノ・クレーターの形成に伴うものではなかった、ということが、結論づけられたことになります。


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