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ジョルダーノ・ブルーノ・クレーター

では、それは何だったのか?

■1178年の現象は何だったのか?
「かぐや」データの解析により、「年代記」に書かれた、1178年の現象と、月のクレーターとは無関係である、という結論が出ました。
当然の疑問として、では、その現象は何だったのか、ということが次の疑問として浮かびます。
1つの説としては、先に述べた通り、月とは関係がない現象を記述したというものです。例えば、たまたま月と同じ方向にみえた大火球、あるいは流星などを、そのような形で描写した、ということが考えられます。
また、当時は中世のキリスト教文化のまっただ中であった、ということも考えておく必要があります。月というものを明示することにより、何らかの宗教的なメッセージを発しようとしたのかも知れません。
いずれにしても、この記述の問題は、天文学だけではなく、宗教や歴史の観点から、今後も研究されていくことが必要であると思われます。

■正確な年代を知るために
クレーター年代学は、地表に下りることなく、上空からの観測によって、その地域の年代を「大まかに」決定することができる、というのが利点です。しかし逆にいいますと、今回の決定でも100〜1000万年という幅がある通り、そのクレーターが実際にできた年代をぴしゃりと特定することはまだまだできないというのが現状です。
このためには、月のクレーター分布と個数とを数え上げ、実際の形成年代と比べ、クレーターの曲線をさらに精密なものにしていくことが必要です。しかし、「かぐや」のデータだけでも膨大ですし、それにさらにアメリカの「ルナー・リコネサンス・オービター」のデータなども加わると、人手では大変な手間がかかることが予想されます。
このため、クレーターを機械で認識して数を数える、といった工夫などが必要になるでしょう。こういった研究なども進められています。
しかしなんといっても、形成年代を実際に調べるためには、月面でクレーターができた際に作られた岩石などの試料を採取して、その年代を調べるのがもっとも確実です。そのためにも、将来月面を実際にローバーや着陸船で探査し、より詳しい探査を行うということが、必要といえるでしょう。
ジョルダーノ・ブルーノ・クレーターの物語は、ここで終わるものではありません。将来の第2章、第3章に向けて、科学者の挑戦はまだまだ続きます。


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