第2回パネルディスカッション「月面車」
No.
11 |
2001年01月09日【火】18:01 |
市川
誠 |
市川です.
先ほどの,ローバによるミッションの話,東京都の男性の方より,寺薗さんご提案の「月面ローバのためのポータルサイト」に賛成のコメントの中で,『「ローバに実行させたい何か」を思い浮かべた段階でそのローバを実現させるうえで考慮すべき事項や必要とされる技術といった具体的検討事項に思考をスムーズに遷移させられるような気がします。』とコメントをいただきまして,「何か」について,色々,アイディアを出しあえればと思い,発言させていただきました.
発言の前後が逆になってしましましたが,説明までに |
No.
12 |
2001年01月10日【水】06:07 |
寺薗
淳也 |
寺薗です。
市川さん、コメントどうもありがとうございました。
さて、こちらとも関係しますが、「臨時ニュース」です。
NASAが進めている新しい惑星探査計画シリーズ「ディスカバリー計画」(Discovery Project)の次の計画(ミッション)として、月のローバ計画「アイスブレーカー」"Icebreaker"をはじめとして、3つの月関係の探査計画が、今回は選定されなかったということです。
残念ですね。ただ、次の計画の選定の機会は半年〜1年くらい先にふたたびやってくると思いますから、そのときにまたチャンスがあるはずです。
ちなみに残り2つのミッションは、「ムーンレイカー」(どっかで聞いた名前だな)という、月からサンプルを採取して持ち帰るミッション、もう1つは「ポーラーナイト」という計画だそうです。詳しい内容がわかりましたら、ここ、あるいは月探査情報ステーション内の適切なページでお知らせしたいと思います。 |
No.
13 |
2001年01月12日【金】12:56 |
市川
誠 |
市川です.
東京在住の男性より,『ちょっと「ムーンレイカー」を調べてみたら、007シリーズの映画のタイトルにあったのですね。こんなものまでありました。』と映画で使われた宇宙服のレプリカ(?)の作り方を紹介したサイトを教えていただきました.
スピルズバーグの巨大鮫がでてくる映画がヒットしたことから,「ムーンレイカー」の前作でジョーズという人物を登場させました.そして「ムーンレイカー」にも悪乗り(?)してこの人物を登場させていたと記憶します.また,この映画は,まだ,スペースシャトルが実際には飛んでいない時代にスペースシャトルを映画の中で飛ばしたことから,これも評判になったと思います.
映画の題名として"Moonraker"は知っているのですが,その語源が気になり始めて英英辞典とか,色々調べているのですが,出てきません.
さて,寺薗さんから,Discovery Projectとして月関係の"Icebreaker","Moonraker",
"Polar night"(?)の3つが提案されるも,選から漏れたとの,報告をいただきました.
"Moonraker"の方,月の科学者として有名なMichael B. Dukeさん(NASA JSC.
現在,Colorado school of Mines (www.mines.edu) のCenter for Commercial
Applications of Combustion in Space に所属)やJPLの人たちで提案されたものだと思います.
このプログラムと仮定してミッションの内容を紹介します.
探査地点はSouth Pole - Aitkenで,そこへ着陸して,ローバでサンプルを集めてサンプルリターンロケットで地球の周回軌道まで運んでこようというものです.South
Pole - Aitken は月の裏側で地球から直接,通信することができないため,月の周回衛星を1機を一緒にもっていき,これを通信リレーに利用します.また,地球からの指令がない間も,ローバがサンプルを集められるように,自律性の高いローバを使用する計画です.実現すれば非常に野心的なミッションとなりますね.
このミッションの"Moonraker"の方の語源は次のようなものと想像されます.
アポロの宇宙飛行士はrakeといわれる熊手のようなもので月面のレゴリスの中に埋まった月の石を集めました.なにしろ,宇宙服はしゃがんで何かをするという作業には全く不向きなため,このような道具は不可欠でした.
Catalog of Apollo Lunar Surface Geological Sampling Tools and
Containers
http://www.hq.nasa.gov/alsj/tools/Welcome.html
にこの道具の写真が載っています.Fig.37, 38, 39で使い方がおわかりになると思います.
そこで提案するミッションの名称も,サンプルリターンの象徴的な意味でrakeという単語を入れたのではないかと思います.
上記のCatalogを見ていると,ローバに「こんなことも,あんなこともさせたいな」という気になるのは,私だけでしょうか? |
No.
14 |
2001年01月13日【土】01:32 |
市川
誠 |
市川です。
元同僚の疋田さんから、moonrakerについての私の疑問への救いの手が差し伸べられましたので、そのまま、紹介させていただきます。
* * * * * ここから * * * * *
ムーンレイカーの話が出ていたのでちょっと。
「ムーンレイカー」は海洋用語では「ムーンスル(moonsail)」と同義語で横帆船の帆の内、風が弱いときに出す帆です。
また、俗語(隠語)で「密輸業者」という意味もあるようです。
ちなみに、密造酒(ウイスキー)のことを「moonshine」とも云うようです。(研究社 リーダーズ英和辞典)
# 007の映画では「moonraker」はスペースシャトルの名前ですが。
# 宇宙の象徴としてのmoonがつく、用語で適当な物でも探したか?
ディスカバリー計画の方は市川さんの考えた「物集めくまで」の方が信憑性がありそうですが。
蛇足ついでに、イギリスのストラトフォード・アポン・エイボンに「moonraker」というホテルもあるそうです。
・・・本題とは全然違うな。
では。
* * * * * ここまで * * * * *
ありがとうございました。 |
No.
15 |
2001年01月16日【火】20:33 |
寺薗
淳也 |
寺薗です。ご無沙汰してしまってすいませんでした。
今日も、外気温マイナス4度の岡山・美星町からの書き込みです。
市川さん、「ムーンレイカー」についてのフォロー、ありがとうございました。あと、疋田さんもコメントありがとうございました。
もちろん、最初に振ってくれた、東京都の男性の方(…私はよーく知っている人ですが)にも、お礼を言わなければなりません。どうもありがとうございました。
さて、そろそろ議論を本題にもどすと共に、もっとも面白いところに向かうことにしましょう。つまり、月面ローバ(月面車)を使って何をするか、ということです。
少し整理してみましょう。まず、科学目的では、
- 表層の探査(岩石の成分、鉱物の構成をみる、鉱物の組織などを調べる)
- 地下の探査(ローバで人工地震を起こす、ローバで地震計を運んで調べる、など)
- 広い領域にわたる探査(岩石の成分などを、広い範囲にわたって調べる)
など。
次に、工学的な目的としては、
- 月の夜(14日間、マイナス100℃)を克服する技術(長期の場合)
- 月の砂(レゴリス)の上で駆動するための車輪、あるいは他の駆動用システム
- 障害物などを避けて走行するための、自律制御システム
- 軽量化、耐振動性、低価格化
などがありますね。
将来的な話、あるいは上の範疇に入らない話としては、
- 資源開発(ローバを使った資源採掘、資源探査)
- ごく近い将来のアミューズメント(地球からのリモコン操作によるローバ)
- 少し先の将来のアミューズメント(月面ラリー(!!)、耐久度競争、…)
なども考えられます。
いずれも非常に面白いテーマです。
私自身はまずは科学者ですし、広く探査をして欲しいのですが、ローバの利点を活かすのであれば、
- そこそこ広い範囲を探るが、その中でなるべく精密に調べる
ような探査が必要だと思います。
現在の技術では、軽量化されたローバを持っていくとしたら、大体探査範囲は数十kmの範囲内が限界になります。一方で、セレーネのような周回衛星で、月の表面のデータがくまなく得られます。ただ、それはあくまでも全体の(比較的粗い)データでしかありませんので、それを補強する意味で、ある限られた領域を精密に調べるようなローバの役割が重要になってきます。
ただ、この場合にはどこを探査するかという点が問題です。
私も「どこにローバを降ろすか」という点については非常に興味がありますが、皆様の中でもさまざまなご意見があるかと思います。ぜひ下の発言欄で、ご意見をお寄せください。もちろん、思いついたご意見で結構ですので。 |
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