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マーズ・エクスプロレーション・ローバ トピックス
2004年5〜6月
おことわり: 一部のトピックスについては、原文が6月発表ですが、月探査情報ステーションへの掲載が8月になっているものもあります。現在のトピックスも併せてご覧ください。
「オポチュニティ」降下を阻むものは? (2004年6月7日17:20)
クレーターに降りることが決まった「オポチュニティ」ですが、本当に安全に下りられるでしょうか? ローバの計画責任者であるJPLのリチャード・クック氏によると、クレーター内の古い岩が露出している層には、5〜7メートルくらい走ればたどり着けるそうです。 観測には、ローバが搭載しているロボットアームを利用します。少し下りた上でロボットアームでの観測を行い、また壁を上ってクレーターを脱出します。さて、問題はこの、クレーターの壁の角度が約25度もあるということです。 ローバーチームはミニチュアのクレーターの壁を地球上に作って実験を行い、25度の傾斜であれば、それが岩でできているのであれば(緩い砂でなければ)ローバは問題なく壁を登り降りできることを確かめています。もし、ルートの途中で傾斜がよりきつい場所に出会った場合、速度を落として、ローバの牽引力を増やして登り切る作戦を取ります。 なお、現在、ローバはクレーターの縁の「カラテーペ」と名付けられた場所にいます。
JPLのプレスリリース (英語)
「オポチュニティ」、クレーター内の探査を実施へ (2004年6月7日17:00初回更新、2004年8月26日15:00最新更新)
NASAは、エンデュランス・クレーターの縁の探査を続けていたローバ2号機「オポチュニティ」について、クレーター内に下りて探査する方針を固めました。探査に関する科学的な価値と、技術的な危険性との両方を考慮の上、決定したものです。なお、クレーター内の探査は、週明けにも予定されています。 「オポチュニティ」は、クレーターの南側から登り降りを行う予定です。もしクレーターの傾斜が問題があるほど急でなければ、NASA/JPLの技術者は降りるように指示を行います。 確かに、クレーターの中にある層状の岩は、火星の過去の水に関する情報を持っていると思われます。「オポチュニティは、調査対象の岩まで行って、調査を行って、クレーターの外まで出てくることができるだろう。しかし、再び戻ってくるかどうかは保証がないのだ。そうなったときのために、クレーターの縁での科学的な調査も実施している。」というのが、NASAの科学探査副行政官、エドワード・ワイラー (Edward Weiler)氏です。 今回、「オポチュニティ」がエンデュランス・クレーターの探査に挑んだのは、着陸地点であるイーグル・クレーターよりも下にある(古い)岩が、このクレーターに露出している可能性があると思われるからです。 イーグル・クレーターは、水が蒸発する段階でだんだん固まってできた岩(蒸発岩)らしきものが発見されました。しかし、「我々は物語の最後の章しかみていない。その水はどこから来たのか? 深い水があったような環境だったかも知れない。あるいは砂丘のような環境だったかも知れない。火山だったかも知れない。」と語るのは、主任科学者のスティーブ・スクワイヤーズ博士です。 いずれにしても、このクレーターの中の層を調べることで、火星の昔の歴史がだんだん明らかになっていくことは間違いありません。かなりの「大勝負」になるかも知れませんが、期待しましょう。
JPLのプレスリリース (英語)
「オポチュニティ」、火星で興味深い岩を発見 (2004年6月7日16:10)
エンデュランス・クレーターの縁を調査しているローバ「オポチュニティ」は、ちょっと興味深い岩を発見したようです。 その岩の1つは「ピロー」(Pyrrho)と呼ばれる、編んだような波状の模様を持つ岩。もう1つは「ダイオジェーンズ」(Diogenes)というもので、もう少し皿状の丸っぽい空洞を持つようで、先のピローにくらべるとやや古いもののようです。ダイオジェーンズの空洞は、科学者によると、水の中の化学成分が変わったため、結晶が消えてしまったと考えています。しかも化学成分の分析から、どうもこの2つの岩は、かつての着陸場所、イーグル・クレーターに露出していた岩と同じ層にある岩のようです。 また、クレーターの南西側から、パノラマカメラや小型熱放射スペクトロメータなどを使って地層の様子を観察したところ、クレーターの底の方や壁の一部には玄武岩でできていると思われる層を発見しました。その上にある硫黄に富む層とは明らかに異なっています。 このようになかなか興味深いエンデュランス・クレーターの地層構造ですが、それを詳しく調査するために、ローバを中に下ろして探査するかどうかは、科学者と技術者による議論にで最終的に決められます。
JPLのプレスリリース (英語)
「スピリット」、いよいよ丘を目の前に (2004年6月7日11:00)
長旅を続けてきたローバ「スピリット」は、その目的地にようやく近づきつつあります。 目的地「コロンビア・ヒル」に向けて走行を続けてきた「スピリット」は、今やこの丘の縁の近くにまで到着しました。途中、ソフトウェアの不具合により、2回の意図しない再起動がありましたが、それ以外は順調に動作しています。 「スピリット」の総走行距離は既に2.9キロメートルにも達しており、コロンビア・ヒルまであと400メートルという距離に近づいています。あと1週間もあれば到着できるでしょう。 これまでの探査機は、着陸機であれローバであれ、平原地帯に着陸したり、動き回ったりしかしていませんでした。今回、火星の丘を探査するというのは、はじめてのことになります。たとえば、1997年の「マーズ・パスファインダ」計画では、着陸点から約1キロほど離れた丘「ツイン・ピークス」に科学者の関心が集まりましたが、ローバの性能上、そこにいくのは困難なことでした。 「当時は、私たちはツイン・ピークスを遠くから眺めて、あれがなんだろうかを考えるだけしか できなかった。でも今は、もっと強力なローバで、丘を直接探査できる。」と、アリゾナ州立大学のジェームズ・ライス博士は述べています。 既に「スピリット」は、丘に近付きながら写真を何枚か撮っています。科学者によるとこれらの岩は、今まで調べてきたよりも古い岩のようです。これらを調べることによって、火星のより過去の歴史を明らかにすることができるかも知れません。
JPLのプレスリリース (英語)
「熟睡」で寿命を伸ばす「オポチュニティ」 (2004年6月1日19:00)
当初の計画期間であった3ヶ月をはるかに超えて頑張っている2台のローバですが、さすがに、そろそろ問題が出はじめているようです。 ローバ2号機「オポチュニティ」も、5月20日あたりから、「熟睡」(deep sleep)というモードを多用し、ローバの寿命を伸ばすようにしています。 現在、「オポチュニティ」は、エンデュランス・クレーターを調査しています。しかし最近になって、バッテリーがもたなくなって、たった1〜2時間しか活動ができなくなるという事態がたびたび起こるようになりました。そこでローバチームでは、各機器の電源を夜の間確実に落としておく「熟睡」というモードを使って、電池の寿命を伸ばすことにしました。 このモードを使う問題点は、夜間にヒータが動作しないことで、科学機器…特に、小型熱赤外放射スペクトロメータに悪い影響が出るおそれがあるということです。このスペクトロメータは、火星表面の鉱物組成を調べたりすることで、水の痕跡を調べるという、今回のローバ計画で重要な役割を担う装置です。それだけに、この決断は大きな意味があります。より長く計画を実施するということと、科学機器を危険にさらすこととの意味を比べた上で実施されている「熟睡」ということになります。 この先、ローバは発電量の減少という問題と戦わなければなりません。2台のローバは火星の南半球にいるのですが、これから冬の真っ只中に入って来ると、次第に火星の大気中の砂が太陽電池に降り積もってきて、発電量そのものが少なくなってきます。それに加えて、「オポチュニティ」自身が抱えている理由があります。それは、このローバのヒータのスイッチが故障していて、ヒータを止めることができないという問題です。 当初の計画期間の頃は、それでも発電量が十分にあったのでそれほど問題ではなかったのですが、いまや、このヒータの電力がローバの発電量の3分の1にまで達するようになってしまいました。 「熟睡」モードは、5月6日にまず最初に実施されました。しかし、科学機器への悪影響を考慮して、科学者チームでは、いま進められているエンデュランス・クレーターの基本的な観測が完了するまでは、このモードを使わないことに決めました。そしてその観測が20日に終了したことで、ローバを「熟睡」させることにしたものです。 実際、地球上でテストしてみたところ、小型熱赤外放射スペクトロメータに使われている臭化カリウム塩が、マイナス50〜60度でだめになってしまうことが分かりました。しかも計算の結果、「熟睡」モードを実施した場合、ローバの温度がマイナス48度まで下がることがわかっています。従って、何かのきっかけで、スペクトロメータに悪影響が出るおそれは十分にあります。 もっとも、一方で技術者たちは、「オポチュニティ」をクレーター内でどのように探査させるかについて、議論を続けています。特にローバをクレーターからどう脱出させるかが問題です。現在「オポチュニティ」が行っている、クレーターの縁からの探査は6月半ばまで続ける予定で、その後、中に降りるかどうかの判断が下されることになるでしょう。
JPLのプレスリリース (英語)
「スピリット」にソフトウェア障害、その後元に戻る (2004年5月27日18:00)
「スピリット」搭載のソフトウェアに障害が発生し、一時動けなくなるというトラブルが発生しました。 5月21日(アメリカ現地時間)、ローバ「スピリット」に搭載されているソフトウェアの問題によって、ローバの正しい位置と高度がわからなくなってしまいました。そのため、ローバは2日間作業を行わず(つまり、移動をやめ)、2日後の23日に移動を再開しました。同じような障害は約1週間ほど前にも起きていましたが、今回の障害とは別のもののようです。いずれにしても、障害が再発しても、「スピリット」の動作には問題がないそうです。 動けなくなったことは必ずしも悪いことばかりではありませんでした。この2日間に、「スピリット」はバッテリーをフル充電することができました。そのおかげで、第133日(地球時間では23日)には、自律走行としては記録となる、1日113メートルの移動記録を樹立しました。 いまや、「スピリット」の総移動距離は2473メートルにも達しています。ローバも、目的地の「コロンビア・ヒル」の裾野まであと約700メートルまで迫ってきました。順調に行けば、あと10日くらいでたどり着けるかも知れません。 ところで、今回のソフトウェア障害について、ローバチームは詳細を明らかにしていませんが、どうやら、3マイクロ秒(100万分の3秒)という極めて短い時間に、メモリの書き込み禁止領域にソフトウェアが書き込みをしようとしてしまうという問題のようです。非常にまれに起きる問題のようですが、「オポチュニティ」も同じソフトウェアを搭載しているため、同じ問題に見舞われる可能性はあります。
「スピリット」到着は6月なかばか (2004年5月23日22:00)
次の目的地であるコロンビア・ヒルへの移動を続けているローバ1号機「スピリット」は、快調に「飛ばして」います。ある日などは1日124メートルもの記録破りの総走行距離を走るなど、健闘ぶりをみせつけています。しかし、その速力をもってしても目的地は遠く、コロンビア・ヒル到着は6月なかばになりそうです。 このコロンビア・ヒルには、いま走っている平原地域よりも古い岩があるのではないかと、科学者が期待しています。まだまだ先は長いですが、辛抱強く、あと1ヶ月近くを待つことにしましょう。
JPLのプレスリリース (英語)
エンデュランス・クレーターの調査でわかってきた火星の「水っぽい過去」
(2004年5月23日21:30初回更新、2004年5月24日18:50最新更新)
エンデュランス・クレーターに到着したローバ「オポチュニティ」は、早速クレーターの調査を開始しています。「オポチュニティ」はまず、クレーターの縁にある岩石を調べています。これによって、クレーターの中に下りて探査をすべきかどうかを決めようとしています。科学的な探査の価値と、クレーターの中に下りていくリスクとを比べた上で、最終的な決断が下されることになりそうです。ローバは反時計回りにクレーターの縁を走りながら、周囲を調べています。 「オポチュニティ」は、クレーターの縁の3ヶ所から内部の観測も行っています。「1ヶ所めから2ヶ所めに動く途中では、今までみたこともないような岩をみることができた。」と、コーネル大学のスティーブ・スクワイヤーズ博士が語っています。この岩は、周囲の平原よりも低いところから来た岩のようで、おそらくクレーターができたときに、地下から吹き飛ばされたものではないかと思われます。 さて、この岩は科学者たちによって、「ライオン・ストーン」(日本語風にいうと「ライオン岩」あるいは「獅子岩」?)と名付けられました。高さは10センチメートル、長さは30センチほどで、そう大きな岩ではないのですが、この岩は、かつて「オポチュニティ」が着陸点のイーグル・クレーターで水の証拠をみつけたときの岩にやや似ている点があります。調査の結果、岩の成分は硫黄に富んでおり、細かい層状の構造や粒状の物質などもあることから、水のある環境でできたと考えられます。 しかし、全てが同じというわけではありません。再びスクワイヤーズ博士の言葉を借りますと、「鉱物組成が少し違う。色も少し違う。この違いが、イーグル・クレーターの岩ができたときの環境を知るためのヒントになるだろう」というのです。 クレーターの中には何層かの岩の層が露出していて、これを調べることによって、過去の火星の環境を知ることができると期待されています。「オポチュニティ」に搭載されている小型熱放射スペクトロメータを使ってこれらの岩の組成を調べたところ、上部の方には粗い赤鉄鉱(ヘマタイト)の粒が、また底の方には、玄武岩質の砂があることがわかりました。 左の写真が、崖を小型熱放射スペクトロメータで調査した結果です。緑色の部分がヘマタイトに富む場所、青い部分が玄武岩質の岩石、赤い部分は火星の砂に覆われている部分です。 ここで注目すべきは玄武岩の発見です。玄武岩は火山岩ですが、この岩層では非常に薄くなっています。このことから、どこか他の地点から、溶岩流として流れてきた可能性があると考えられます。 アリゾナ州立大学のフィル・クリステンセン (Phil Christensen) 博士は、「おそらく、火山から噴出した岩が粉々に砕けて、風かあるいは液体の水などによって運ばれて、再堆積したものと考えられる」と述べています。 このエンデュランス・クレーターに露出している岩の層の厚さは、かつて探査を行ったイーグル・クレーターの10倍以上もありますが、他の探査機によるリモートセンシングによって、それより厚い層がメリディアニ平原の他の場所にもみつかっています。こうした上空からのデータも、火星の地表の様子を解き明かす手がかりになっています。クリステンセン博士によれば、「層全体が、水による堆積物かも知れない…水の中で堆積したものもあれば、科学的に析出して堆積したものもあるかも知れない。層でないとすれば、風による堆積物ということも考えられる」とのことです。 水とのつながりがかなり強調されてきたことで、今後のエンデュランス・クレーター周辺の物質の調査が期待されるところです。
JPLのプレスリリース (英語)
「スピリット」の目的地はまだ遠く (2004年5月23日14:30)
こちらの記事も、5月6日付け(アメリカ現地時間)のプレスリリースをもとにしています。 もう1台のローバ「スピリット」も、目的地である「コロンビア・ヒル」を目指して走り続けています。しかし、コロンビア・ヒルに到着するためには、まだ数週間くらいはかかるようです。やはり、遠いですね。 一方、マーズ・グローバル・サーベイヤ探査機やマーズ・オデッセイ探査機のデータによる夜間の地表温度の情報から、このコロンビア・ヒル領域は、思ったより岩がちの場所であることがわかってきました。 ローバの科学探査チームの共同研究者であるアリゾナ州立大学のアミー・クヌードソン (Amy Knudson)氏は、「この丘の岩層は他の場所とは違うもので、多分、いま『スピリット』が走っている平原地帯よりも古いものだろう」と言っています。この丘には興味深い地形が多数あり、その地形の形成に、水がどのような役割を果たしているのかに関心があるとも、クヌードソン氏は語っています。
JPLのプレスリリース (英語)
「オポチュニティ」、エンデュランス・クレーターに到着 (2004年5月23日12:10初回更新、2004年5月24日18:30最新更新)
まず、ここのところ更新が滞ってしまいまして申し訳ありませんでした。この記事も、5月6日付け(アメリカ現地時間)に発表されたNASA/JPLのプレスリリースをもとにしていることをご了承ください。 さて、自らが降り立ったクレーターを離れ、次の目的地へ向かっていたローバ2号機「オポチュニティ」は、ついにその目的地、エンデュランス・クレーターに到着しました。 このクレーターにも、内側には何層もの岩層がみえます。左の写真は、「バーンズ・クリフ」と名付けられた、クレーター内の急な崖です。この崖は何層もの岩層がみえていて、地質学的に非常に魅力的ですが、問題は場所です。あまりに崖が急過ぎてローバが近づけません。(なお、この「バーンズ」は、火星の地質学において硫黄や鉄ミョウバン石が重要であると提唱した地質学者、ロジャー・バーンズにちなんで名付けられています)。 最初に「オポチュニティ」が着陸したクレーターよりもはるかに大きな(プレスリリースでは「スタジアムくらいの大きさの」と表現していましたが)、このエンデュランス・クレーターの調査は、最初に「オポチュニティ」が降り立ったイーグル・クレーターの調査に続く、大仕事になりそうです。 技術者、科学者とも、この到着を喜ぶと共に、光景に心打たれているようです。ローバ探査の主任研究者であるコーネル大学のスティーブ・スクワイヤーズ博士も、「これまでにみてきた火星表面の光景の中でもっとも華々しいものだ。単に科学的な価値があるというだけではない。本当に美しいのだ。」と、その感想を語っています。 エンデュランス・クレーター到着後の「オポチュニティ」最初の仕事は、クレーターの縁を回り、クレータ内部の様子をいろいろな角度から撮影することです。どこに科学的に興味深い場所があるかを、それによってまず調べることになります。また、クレーターに降りていく(そして再び壁を上っていく)ためにどのようなコースを取るのが安全なのかを調べます。これによって、このエンデュランス・クレーターが科学的に調査する価値に値するものなのかどうかを見定めなければなりません。 例えば、左上の写真にあるような場所(「カラテーペ」(Karatepe)と名付けられています)は、ローバからもアプローチしやすく、最初に探査するとしても理想的かも知れません。 「オポチュニティ」が劇的な成果を挙げたイーグル・クレーターの探査も、いま振り返ってみますと、実は「水がなくなっていく、最後のあえぎ」(スクワイヤーズ博士)をみているだけに過ぎなかったのかも知れません。イーグル・クレーターは小さいため、火星の表面を浅く削っていただけで、より深い層、つまり、もっと昔の情報をもたらしてくれるであろう層については、まだ分かっていないのです。 その点、より大きいエンデュランス・クレーターには、より深い層が露出しているのではないかという期待があります。 このエンデュランス・クレーターは、イーグル・クレーターから約800メートル離れた場所にあり、大きさは約130メートル、深さは20メートルほど。イーグル・クレーターの約10倍ほどの大きさがあります。はるか昔に、小惑星か彗星が衝突してできたと考えられています。クレーターの壁には5〜10メートルほどの岩層がみえています。 クレーターの中に降りていくことはそれほど難しくないだろうと、火星探査ローバの操作チームのブライアン・クーパー氏は語っています。彼によると、壁の角度は18〜20度くらいなので、降りていくことについては問題ないそうです。ただ、上ってくるのは大変だとか。特に、砂の状態などによって車輪が滑ったりするかどうかがポイントになりそうです。 面白いことに、30年以上前、アポロの宇宙飛行士たちが月に降り立ったとき、彼らはエンデュランス・クレーターのような急な傾斜を持つクレーターの中に入ることを許されなかったそうです。「オポチュニティ」は、アポロ以来、というか人類史上はじめて、このようなクレーターに入り込んで調査を行うことになるかも知れません。 これからどのような探索が行われるか、それがどんな成果をもたらすか、「オポチュニティ」探査第2幕が、いよいよ始まります。
JPLのプレスリリース (英語)
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