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マーズ・エクスプロレーション・ローバ トピックス
2004年1月11日〜20日分
「オポチュニティ」の火星着陸が近づく (2004年1月19日23:30)
2号機「オポチュニティ」の着陸が、あと1週間弱に迫ってきました。今のところ、着陸点のメリディアニ平原に向けて、順調に飛行を続けています。 着陸が近づき、準備も始まってきました。1月16日(現地時間)には、探査機に搭載されたスラスタ(小型ロケット)を利用して、軌道を少し修正する作業が行われました。探査機の回転軸方向への20秒のスラスタ連続噴射、そして回転軸へ垂直方向への5秒間のパルス噴射を行い、約600キロずれていた軌道を元に戻すことができました。 場合によってはあと2回ほど軌道修正が必要になるかも知れませんが、いずれにしても予定通り、25日の着陸が近づいてきています。
JPLのプレスリリース (英語)
火星表面の調査を開始 (2004年1月17日13:40)
火星の大地の上に無事降り立ったローバ「スピリット」は、いよいよ、本格的な火星表面の調査を始めました。まずは、「スピリット」が誇るロボットアームを使い、火星の表面の土を調べることがスタートです。 探査には、このロボットアームの先端に取り付けられた顕微鏡カメラが活躍しています。この顕微鏡カメラが撮影した画像は、これまで火星で、いや他の惑星で得られた画像のうち、もっとも詳細なものといえるでしょう。アームの先端には、この他にもいくつかの科学機器が取りつけられており、火星の表層の地質などをこれから順次、明らかにしていくことでしょう。いわば「ロボット地質学者」として、「スピリット」はこれから、動き回りながら探査を続けていきます。
「スピリット」、地表に降りる (2004年1月15日22:50)
ローバ「スピリット」が火星の地表に降り立つことに成功しました。 JPLのエラーチ所長は会見で、「ローバは、発見と探求のミッションを開始する準備が整った。ローバの6輪とも、既に火星の土の上にある。」と語っています。 JPLの技術陣は、4日に「スピリット」が着陸して以来、慎重にローバを火星の地面に下ろすための準備作業を進めてきました。何しろちょっとしたきっかけでローバが転倒したり、手順を間違えてしまえば、その時点でミッションは失敗に終わってしまいます。そのため、ローバの状態を慎重に確かめ、地上での実験なども重ねた上で、ローバを火星の地表に下ろすための手順が練られました。 この日、ローバは78秒間の間に約3メートル走行し、着陸機構の上から、誘導路を通って火星の土の上に降り立ちました。ローバは誘導路の端から約80センチメートルのところまで走って止まりました。 この写真は、誘導路を出たあと、ローバ後方の障害物検知カメラから「振り返って」撮影したものです。ローバが着陸機構から離れ、火星の土の上で「独り立ち」している様子が分かります。 ローバが正常に火星の土の上に降りたことは、日本時間で午後6時53分に確かめられました(現地時間では早朝、午前1時53分になります)。 これから、いよいよ「スピリット」の火星探査が始まります。
JPLのプレスリリース (英語)
「スピリット」の行程が決まる (2004年1月14日21:10)
ローバ「スピリット」がどのようなコースを辿って火星表面を探索するか、そのコースがほぼ決まりました。プレスリリースの言葉を借りれば「そこのクレーターまで行って、右に曲がって…」(Go To That Crater And Turn Right)ということになるようです。 まず、「スピリット」は着陸点周辺の岩や砂を調べたあと、着陸点から250メートルほど北東にあるクレーターに向かうことになります。このクレーターは衝突の衝撃で、周辺の地面から20〜30メートルも深くくぼんでいます。そこには地下の物質が露出しているかも知れません。 そこでの探査がうまくいけば、「スピリット」は今度は、そこから3キロメートルほど離れた丘(東の丘: East Hills)の方へ向かいます。この丘には、着陸点あたりよりも上位に属する堆積物があることが期待できます。 ただ、この「3キロ」という距離は、ローバにとっては非常に大きな挑戦になります。NASAでは600メートルほどローバが走行できれば「ミッション成功」とみなせるとしていますので、その5倍もの距離を走破できるかどうかは予断を許しません。チャレンジに期待しましょう。 そのローバの方ですが、走行に向けた準備を進めています。着陸機構の上であと2回の旋回を済ませれば、ローバは晴れて火星の大地に踏み出せることになります。そのタイミングは日本時間で15日の深夜から16日の早朝にかけてくらいになるでしょう。
JPLのプレスリリース (英語)
火星の大地の上にある「魔法のじゅうたん」 (2004年1月13日22:10)
ローバ「スピリット」が着陸した際に、エアバッグが膨らみ、その後縮みましたが、その際についた跡がこの模様です。JPLの科学者たちによって「魔法のじゅうたん」(Magic Carpet)と名付けられたこの模様は、エアバッグにより、火星の土が引き剥がされたためにできたものと考えられています。周辺の岩にも、エアバッグ着地の際についたような弓状の模様がみえます。 科学者チームは、火星の土がどのような成分でできているかを調べるために、この領域をローバで調査することを計画しています。
JPLの記事へ (英語)
スピリット、いよいよ発車へ (2004年1月12日22:00)
ローバ「スピリット」は、既に6輪とも車輪が自由になり、あとケーブル1本さえ切断すれば、いよいよ「自由の身」となって走り出すことができる状態になっています。 まだエアバッグがローバの前方に残っているため、ローバ自身が120度方向を変えて、北西の方向に出なければなりません。 ローバが一旦地上に降りたら、技術者たちは「地上」でのテストを行い、最終的なリハーサル(dress rehearsals)を行って、その後問題がないことが確認されたら、いよいよ「スピリット」が火星の大地を走ることになります。おそらく13〜14日頃には、この「スピリット」に結びついていた最後のケーブルを切り離すことになります(従って、早ければ14日には動き出せることになるでしょう)。そして、火星の大地の上を走り出せるのは、最終チェックがすべて完了した、15〜16日頃になりそうです。 ローバの状態は「むちゃくちゃいい」(pretty darn perfect)とのことです。
JPLのプレスリリース (英文)
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