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Planet Journey 月と土星へ2004
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vol.9 (黒谷明美)
様々な分野の方々に同じテーマで語ってもらう、リレーコラム。どんな話が飛び出すんでしょうか! 月探査情報ステーションとDSPACE、交互に掲載します。
2004.09.17UP
月や土星にカエルを連れていく話を期待されているのでしょう。ところが私はひねくれ者です。
すでに登場した何人かの方々と同じですが、私も月から見える地球を楽しみたいです。9月28日は中秋の名月、いわゆる「お月見」の日。ススキを飾りお団子をお供えして、ゆったりと月を楽しむ、この風流な行事が好きです。月でも「地球見」の日を決めて、優雅な行事にしてみたい。地球見には、お団子ではなくて、青磁か白磁の水盤や杯の様な平たい入れ物に、透明な液体、えーと、水とか日本酒とか焼酎とかウオッカとかグラッパとか…あれ、何だかお酒ばっかりだけど…、ともかく液体を満々と注いでお供えするのが、私の印象としてはぴったりです。ススキの代わりには、季節にもよりますが、何か青い花? 淡い黄緑の芽が出たばかりの柳の枝もいいかも。あ、頭にカエルが浮かんだのでこの辺で…。
こういうことを月で考えたら、別の結果になる可能性もあります。月の1/6Gの重力が、人間の美意識にどう影響するか知りたいです。天橋立の「またのぞき」の効果も、非日常的な格好による緊張感や興奮などが促進しているだけでなく、視覚などの感覚器や様々な信号を統合する脳の部分が、−1G下で変化することによる可能性を考えている人もいるとか、いないとか…。スケッチブックと画材をもっていって美しいと思うものを描いてみるのもおもしろいかな。
(イラスト:黒谷明美)
黒谷明美さん
東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部生物学科、大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻。ISAS/JAXAにおいての専門分野は発生生物学・細胞生理学・宇宙生命科学。著書:「星と生き物たちの宇宙(共著)」集英社新書、「絵でわかる細胞の世界」講談社、「絵でわかる生命のしくみ」講談社。
次はいよいよ最終回。最後は、あの「月の成り立ちムービー」を作成した国立天文台の小久保英一郎さんに登場いただきます。月への想いは人一倍の小久保さんが、持っていきたいものとは?
vol.10