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> イベント情報 > Planet Journey 月と土星へ2004 > リレーコラム > vol.10 (小久保英一郎)


土星や月への旅行に持っていくなら…?
様々な分野の方々に同じテーマで語ってもらう、リレーコラム。どんな話が飛び出すんでしょうか! 月探査情報ステーションとDSPACE、交互に掲載します。
ウミヅキチョウチョウウオに見た月。 2004.07.22UP
vol.3
小久保英一郎さん 自然科学研究機構国立天文台理論研究部 小久保英一郎さん DSPACE
イラスト ぼくは海が好き。時間があったら伊豆や沖縄に潜りに行くんですが、そのきっかけになった魚がいます。「ウミヅキチョウチョウウオ」。月と水平線と寄せる波が3つぐらいの単純な線で描かれている。よくつけた名前だなぁと思って。風雅な魚です。沖縄の海で初めて見てから、すごく魚が好きになって海にはまって行った。大学生の頃です。

  元々月を見るのも好きだったんですけど、潜っているうちに、海に生きている魚たちがみんな月のリズムで生きているのを知って、こんなに我々生き物に影響を与える月がなんであるのかって興味をもった。それが月の起源を研究しようと思った大元にありますね。

  コンピューターで、約46億年前に月ができる時の様子をシミュレーションしてみると、地球がほぼできた時に、火星ぐらいの大きさの天体がぶつかって、破片が飛び散り集まって月ができた。ほぼ1ヶ月で。ビックリしました。ここまで短いとは思っていなかった。

  月ができていく様子があまりにダイナミックだったので、CGを作り始めました。武蔵野美術大学の三浦さんに絵を描いてもらって、当時、東京芸大の院生だった一之瀬君に見せて「宇宙の番組なんかでよく使われる荘厳な曲じゃなくて、動きにシンクロした今風のものを。」と注文したら、あそこまでカッコよくしてくれた。荘厳な感じもいいけど、それだけじゃないんじゃないかと。月ができるダイナミックな様子を表現するには、もっとビートの効いた音楽のほうがいい。従来のものに囚われないカッコイイのがいいよね、と3人で話しながら作りました。

 宇宙旅行なら、まず月に行って天体としての地球を見てみたい。水が表面に存在している天体は今のところ他にない。僕が潜りに行ったグレートバリアリーフなんかを見てみたいです。それから今、太陽系以外の惑星がどんどん見つかり始めていますよね。地球に月があるように、惑星に生命が存在するには、月の存在が好条件を与えると考えています。

 いつか太陽系以外の惑星に行って、その星の住人とお月見ができたらいいですね。
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小久保英一郎さん
国立天文台理論研究部。太陽系の起源、系外惑星の起源、惑星の衛星の起源などの理論的研究。何かがどうやってできるのかに興味がある。スーパーコンピューターを使い天文現象がどのように起きるかをシミュレーションしている。趣味はスキューバダイビング。著書は「一億個の地球」(岩波科学ライブラリー)、「宇宙と生命の起源―ビッグバンから人類誕生まで」( 岩波ジュニア新書)
3ヶ月に渡って、お届けしたリレーコラムも今回が最終回。月へ土星へ、そして宇宙へのそれぞれの想いが伝わったでしょうか?
「planet Journey」が終了しても、私たちの宇宙へ馳せる夢や想いは、終わることはありません。