海王星
「神秘」
海王星のデータ
- 海王星は太陽から8番目の惑星で、(直径で)4番目の大きさです。
- 太陽からの距離: 4,504,000,000 km (30.06 天文単位)
- 赤道直径: 49,528 km; 極直径: 48,600 km
- 質量: 1.0247×10^26 kg
海王星は天王星より直径は小さいですが、質量は大きいです。
- ローマ神話では、海王星は海の神ネプチューン(ギリシャ神話ではポセイドン)です。
- 天王星発見後、ニュートンの万有引力の法則による軌道が、実際とずれていることが問題となりました。従って、天王星の外側のもう一つの惑星が摂動を及ぼしていることが推定されました。1846年ガレは、木星、土星、天王星の観測位置に基づいてアダムスとル・ベリエがぞれぞれ独立に予言したその場所に、海王星を発見しました。その後、アダムスとル・ベリエのどちらが惑星発見の栄誉を得、新惑星の命名権を得るべきか、国際的な論争を巻き起こしました。現在では、二人とも海王星発見に名を連ねています。しかしその後の観測によって、アダムスとル・ベリエが計算した軌道は実際と違っていることが明らかになりました。したがって、もし海王星の捜索が2〜3年早いか、または遅かったら、海王星は計算された場所の近くにはなかったことでしょう。
- 海王星を訪れた探査機は、1989年8月25日のボイジャー2号の一機だけです。私たちが知っているほとんどすべては、この探査機からの情報によるものです。
- 冥王星の軌道は強い楕円になっているため、時々海王星の軌道と交わることがあります。1979年以来、海王星は太陽から最も遠い天体になっています。冥王星が再び、最も遠い惑星になるのは1999年以降です。
- 海王星の組成は、たぶん天王星と似ていて、何種類かの“氷”と15%の水素と少々のヘリウムを含んだ岩石により成っているに違いありません。天王星のように、しかし木星や土星と違って、海王星は、はっきりした核を持たないようですが、何らかの固体成分はあるかも知れません。海王星の大気はほとんどが水素とヘリウムで、メタンが少し含まれています。
- 海王星が青い色をしているのは、大気中に含まれるメタンによる赤い光の吸収の結果です。
- 典型的なガス惑星のように、海王星には、緯度帯に閉じ込められた強い風が吹いており、嵐や渦があります。海王星に吹く風は、太陽系で最も早く、時速2,000kmにも達します。
- 木星や土星のように、海王星は内部に熱源を持っており、太陽から来る熱の約2倍の熱を発生しています。
- ボイジャーが接近したときの海王星の最も顕著な特徴は、大黒班(写真18)でした。その大きさは木星の大赤班(地球の直径とほぼ同じ大きさ)の約半分です。海王星の風に吹かれて、大黒班は西方に秒速300m(時速440km)で移動しています。またボイジャー2号は、不規則な白色の雲が海王星を16時間ほどで一周するのを観測し、“スクーター”と呼ばれるようになりました。これは大気の下層から沸き上がる雲かも知れませんが、自然は神秘を残すものです。
- しかし1994年、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が海王星(写真25)を観測したところ、大黒班が消えていました!これは単純に消えてしまったものか、または、大気の他の部分に隠されているかのいずれかでしょう。数ヶ月後、HSTは海王星の北半球に新たな黒班を発見しました。このことは、海王星の大気が短い期間に変化することを示しており(写真26)、雲の下層と上層で温度が微妙に違うことが原因かもしれません。
- 海王星にも環があります。地上からの観測では完全な環は見えず、わずかな弧が見えるだけですが、ボイジャー2号の画像では完全な環を一部が明るく太くなっている様子とともに見ることができます(写真22,23)。
- 天王星や木星のように、海王星の環は非常に暗いですが、その組成は不明です。
- 海王星の磁場は、天王星のように極が地軸と大きく離れており、たぶん海王星の中心よりは表面近くの運動によって発生しているのでしょう。
写真
- (上)海王星全面
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- 海王星
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- 細い三日月型の海王星
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- 海王星と衛星トリトンから離れるときの画像
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- 擬色による海王星
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- 細い三日月型の海王星・南側(白黒映像)
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- 雲の見える海王星の遠景(白黒画像)
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- 海王星でのトリトンの出(白黒画像)
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- スクーターと班
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- 雲の変化
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- 明るい雲の条
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- 海王星大気中の雲(白黒画像)
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- 巻雲のような雲
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- 波構造?
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- 雲の拡大像(白黒画像)
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- 小黒班
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- 小黒班
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- 大黒班
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- 海王星の大黒班
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- 黒班とスクーター
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- 海王星の大きな班とスクーター(白黒画像)
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- 環
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- ねじれた環
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- 海王星の環(白黒画像)
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- 両半球のHST画像
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解説
- HST画像
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- ...海王星画像をもっと
動画
- 環のクローズアップ
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quicktime
- 海王星の自転
2800k
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- 海王星の黒班
1100k
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海王星の衛星
海王星には8個の月があります。7個の小さいものとトリトン
です。
距離 半径 質量
衛星 (000 km) (km) (kg) 発見者 発見年
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ナイアッド 48 29 ?
ボイジャー2号 1989
タラッサ 50 40 ?
ボイジャー2号 1989
デスピナ 53 74 ?
ボイジャー2号 1989
ガラテア 62 79 ?
ボイジャー2号 1989
ラリッサ 74 96 ? ボイジャー2号 1989
プロテウス 118 209 ? ボイジャー2号 1989
トリトン 355 1350 2.14×10^22 ラッセル 1846
ネレイド 5509 170 ? カイパー 1949
距離 幅
環 (km) (km) 仮符号
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拡散 41900 15 1989N3R
内 53200 15 1989N2R
プラトー 53200 5800 1989N4R
主 62930 < 50 1989N1R
(距離は海王星の中心から環の内縁まで)
海王星と衛星に関するその他の情報
未解決の問題
- 海王星の磁場は中心を外れており、自転軸に対して大きな傾きをもっています。
どのような内部作用がこのようないびつな磁場を生成するのでしょう?
- 海王星(と天王星)に水素とヘリウムが相対的に少ないのは何が原因でしょうか?
- 大黒班に何が起こったのでしょう?
... 太陽
... 天王星
... オベロン
... 海王星
... ナイアッド
... 冥王星
...
ビル・アーネット著;1995年 6月19日更新
森 正 訳;1995年 8月15日更新