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月を知ろう

月に関する研究発表
月軟着陸実験機(SELENE-B)概念検討例


  • 制約条件(想定)
  • 外形寸法:
    H-IIAロケット・フェアリングに収納可能なこと。概ね,直径4[m]程度×高さ4[m]程度以下(H‐IIAロケットフェアリングの半分程度)
    打ち上げ時質量(推進薬含む):
    1.5[ton]程度以下(H-IIAロケットの半分程度)
    科学ミッション機器質量:
    50[kg]程度
    地上局:
    国内局のみでも運用可能なこと
    運用期間:
    着陸後,最大2週間程度(越夜はせず、月の昼間のみ)
    着陸条件:
    ・着陸地点:月の表側、斜度30[°]程度以下
    ・着陸時期:月の朝
    ・着陸精度:着陸目標点から半径100[m]程度以内
    ・障害物を回避して着陸すること。
    ・回避不可能な障害物は高さ50cm、幅1m程度であり、分布は事前には分からないものとする。
    着陸時条件:
    ・降下速度:3[m/s]以下
    ・水平速度:1[m/s]以下
    ・姿勢レート:2[°/s]以下
    ・姿勢精度:±5[°]以内
    信頼性:
    ・原則として1故障で全ミッションを失う事はないものとする。
    ・但し、リソースとの関連で冗長とすることが困難なものについては、故障率を考慮したうえで1重系を許容することとする。
  • ミッション(想定)
  •  以下のミッションを仮設定
    ・月面軟着陸技術の実証
    ・小型ローバによる地質探査(月の起源・進化の解明に資するもの)
  • システム構成

  •  システム構成については各種要素技術の検討と並行して複数ケースについてのトレードオフを実施中である。ここではその中の一例を示す。
    • 検討結果例
      • 構体(別紙1参照)

      • ・構体については構造、耐転倒性、回避不能障害物耐性等の観点から各種コンセプトのアイデア出しを行った。以下の検討は「トラス構造着陸船」に基づく。
      • 熱制御系(表1参照)

      • ・熱制御装置
        ・ヒータ
        ・MLI
        ・サーマルルーバ
      • 誘導制御系(表2参照)

      • ・誘導制御装置(計算機、推進系インターフェース回路等)
        ・慣性センサユニット(IMU)
        ・恒星センサ(ST)(軌道上姿勢アライメント用)
        ・太陽センサ(SS)(粗姿勢捕捉用)
        ・レーザ高度計(LIDAR)
        ・スキャン型レーザレンジファインダー(LRF)
        ・画像センサ(航法、障害物検知)
        ・搭載ソフトウエア(システム、航法、誘導、姿勢制御、障害物検知・回避)
      • 電力・電装系(表3参照)

      • ・電力制御装置(充放電制御・電力分配)
        ・太陽電池パネル(機体固定)
        ・2次電池(リチウムイオン電池)
        ・1次電池(熱電池)
        ・シャント・デシペータ
      • 通信系(表4参照)

      • ・オムニアンテナ
        ・ミドルゲインアンテナ
        ・USBトランスポンダ(テレメータ送信機、コマンド受信機)
        ・ダイプレクサ、スイッチ等
      • データ処理系(表5参照)

      • ・データ処理装置(シグナルコンディショナ含む)
        ・データレコーダ
        ・リモートターミナル
      • 推進系(表6参照)

      • ・メインエンジン(2液式1700N)
        ・姿勢制御用ガスジェット(2液40N)
        ・推進薬タンク(燃料、酸化剤)
        ・高圧ヘリウムガスタンク
        ・配管系
      • 観測系(表7参照)
  • ミッションプロファイル

  • 前述のシステム構成検討結果例を前提としたプロファイルを以下に示す。
  • 設計解析

  • 前述のシステム構成検討結果例を前提とした解析結果を以下に示す。
    • 冗長構成

    • ・月周回軌道投入までに使用する機器については動作時間が長いため1FO(1 Fail Operational)とし、月軌道周回以降のみ使用する機器は1重とする。
      ・構体、軌道変換エンジン、搭載ソフトウエア、配管等冗長構成が不可能、あるいはリソースとの関係で非常に困難なものについては上記にかかわらず1重とする。
      ・なお、これらについては信頼性解析を実施した上で決定する。
    • 質量、電力解析

    • 表9に簡易解析結果を示す。
    • 誘導制御解析

    • 表10に簡易解析結果を示す。
  • 【検討結果】

  •  今回実施した検討の結果、表9の質量解析でも分かるように、質量が要求を満たしていないことが分かっている。今後、一層の質量削減の努力が必要である。地道な質量削減への努力は当然であるが、開発の初期段階であるので、当面は斬新なアイデアによる抜本的な削減策を求めて研究を進めていきたい。

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