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1998年度シンポジウム
SELENE開発計画
発表概要
2003年頃にH-IIAロケットで打ち上げを目指すセレーネ(SELENE: SELenological and ENgineering
Explorer)計画は、宇宙科学研究所と宇宙開発事業団の共同プロジェクトとして現在、設計検討が進められている。SELENE計画の主要な目的は二つあり、一つは月の起源と進化を解明するためのデータを取得することであり、そのために14種類の観測機器を搭載し、元素分布、鉱物分布、表層構造、重力場・月の運動、磁場の観点より月を観測する。もう一つは将来の月探査計画に必要な軟着陸技術の実証と月面環境での機能維持技術の実証であり、着陸機を切り離して月面に軟着陸させる実験を行う。SELENEで実施するミッション計画は以下の通りである。
□衛星打ち上げ〜月周回軌道投入
H-IIAロケットにより打ち上げられ、第2段の再着火により月遷移軌道に投入される。その後、太陽電池パドル展開、太陽捕捉、恒星捕捉、衛星三軸確立、ハイゲインアンテナ展開、通信リンク確立を行う。また、ロケット軌道投入誤差等を修正するため、2回のミッドコース修正マヌーバを行い、打ち上げ後約5日後に月周回軌道への投入を行う。
月周回軌道投入後、6回の軌道変更マヌーバにより遠月点高度を段階的に下げ、高度100kmの月観測円軌道に投入する。また、その途中の軌道でリレー衛星を分離し高度110km×2400kmのリレー衛星軌道に投入する。
□月観測運用
高度100kmの周回軌道上より各観測機器による月面の観測、磁場、プラズマ、放射線等の月環境の計測を行う。観測機器でで取得したデータはXバンド・ハイゲインアンテナにより地球に送信する。また、リレー衛星に搭載した中継器を用いたドップラー観測による月重力場の観測を行う。
以上の観測を約1年間継続して行う。その間軌道高度を100±30kmの範囲で制御する。
□軟着陸実験
1年間の周回観測後、推進モジュールをミッションモジュールから分離し、軌道離脱〜動力降下〜姿勢変更〜垂直降下〜自由落下を経て月表側中心付近に軟着陸させる。推進モジュールは着陸後、着陸飛行中に取得した画像データ及びテレメトリデータを地球に送信する。推進モジュールに搭載した月面電波源は、2ヶ月に渡り、リレー衛星と連携して、相対VLBI用電波を送信する。 |
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