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月を知ろう

月に関する研究発表
1998年度シンポジウム

SELENE月着陸ミッションにおける航法制御

発表概要

 SELENE(月探査周回衛星)は2003年夏の打上げを目指して、予備設計が進められている。本発表では、概念設計段階での軌道計画について、月遷移軌道・月周回軌道の部分に焦点をあてて報告する。
 SELENEはH-IIAロケットにより打ち上げられ、H-IIAロケット第2段により月遷移軌道に投入される。月遷移ではダイレクトに月に到達する軌道をとり、所要日数は約5日である。遷移軌道上では二度のミッドコース・マヌーバが予定されている。第1回のマヌーバは、打上げ時間遅れと遷移軌道投入誤差に起因する軌道誤差を修正するため、第2回のマヌーバは、第1回マヌーバ前の軌道決定誤差と第1回マヌーバ増速度誤差に起因する軌道誤差を修正するために実施される。以上2回の修正マヌーバの結果、SELENEは許容範囲内の誤差で月に接近することになる。
 SELENEは月遷移軌道上で構造物(太陽電池パドル、ハイゲインアンテナ)を展開するため、月周回軌道投入時の加速度が制約される。月接近軌道から月周回円軌道(高度100km)に低加速度による1回のマヌーバで投入した場合、グラビティロスによる必要推薬増がかなり大きくなり、システム的に受け入れることは難しい。グラビティロスによる推薬増をシステム的に受入可能な範囲内におさえるため、SELENEでは月周回軌道投入マヌーバを6回に分けて実施する予定である。リレー衛星はこの過程での中間軌道で分離されることになる。
 月周回軌道では、観測ミッションからの要求として軌道高度を100km±30km内に維持する必要がある。重力ポテンシャル高次項の影響が強い月の場合、高度維持制御マヌーバなしに軌道高度を1年間要求範囲内に維持することは不可能であり、高度維持制御に必要な推薬量の推定が重要となる。この際、重力ポテンシャル係数のノミナル値に対応する制御量だけでなく、係数誤差まで考慮した最悪ケースでの制御量の推定が必要となることに注意する。
 以上のような点を中心に、月遷移・月周回における軌道計画の概要について、紹介する予定である。

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