全文検索 総合案内 サイトマップ
> 月を知ろう > 月に関する研究発表 > 研究発表 > 1998年度シンポジウム > SELENE計画 > 宇科連98 > アブストラクト
月を知ろう

月に関する研究発表
1998年度シンポジウム

SELENEの月重力場観測機器の概念設計

発表概要

 SELENE(月探査周回衛星)に搭載される月重力場計測用ミッション機器の、概念設計の結果を報告する。本ミッションでは、リレー衛星搭載中継器(以下、RSAT)を用いた測距及びドプラ計測と、衛星・月面電波源(以下、VRAD)を用いた相対VLBI観測から、リレー衛星及び周回衛星の高精度軌道決定を行い、その解析によって月の重力場を測定する。
 RSATは、リレー衛星において測距・ドプラ計測用の信号と衛星電波源の中継を行う。特に月の裏側を飛行中の周回衛星を、リレー衛星を介した4wayでドプラ計測することにより、初めて月の裏側の重力場の全域マッピングを可能とする。リレー衛星の限られたリソースの中でミッションを達成するため、アンテナ・通信機器構成の工夫を行うと共に、ミッション運用の効率化を図った。4wayリンク成立時の月面カバレッジの解析により、重力場推定に必要なデータが取得できることを示した。
 VRADは、リレー衛星に搭載される衛星電波源と推進モジュールに搭載される月面電波源から構成され、推進モジュールが月面に軟着陸した後にVLBI用電波を発射する。相対VLBI観測によって、重力場計数の低次項において、従来の手法と比較して1桁以上の精度の向上を実現する。月面電波源では、厳しい温度環境に耐えるための恒温槽と、月の昼夜に関わらず観測を行うためのバッテリを使用した、軽量かつ高効率の観測システムを設計した。
 これらの機器を用いた重力場観測により、月の内部構造並びに起源が解明されることが期待される。

▲このページのトップへ