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着陸機「ビーグル2」マーズ・エクスプレスに搭載された着陸機「ビーグル2」(Beagle 2)は、火星の表面で科学探査を行う、重要な使命を帯びています。おもにイギリスの科学者・技術者が中心になって製作された小型の着陸船が、火星に生命がいるかどうかという、大きな謎に挑みます。文中のイラストの高解像度版は、「マーズ・エクスプレス」のギャラリーにあります。 ビーグルの名の由来「ビーグル」という名前を聞いて、まず思い浮かぶのは、何といっても、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンではないでしょうか。彼が進化論を発見するきっかけになったのは、ビーグル号に乗って出かけた航海でした。そして、その航海では進化論の重要な証拠だけではなく、数多くの新しい種をみつけています。火星に生命が存在するかどうか、それを確かめるために向かう着陸船は、ひょっとすると生命に関して全く新しい発見をもたらすかも知れません。ダーウィン自身が「私の人生でもっとも重要な出来事」と述べたビーグル号の航海に敬意を表し、300年近い時を超えて、この着陸機にビーグルという名前がつけられました。 周回機から切り離される「ビーグル2」(想像図) All rights reserved Beagle 2. 超小型の着陸機火星に生命がいるかも知れないという発表があって以来、我々が手にできる証拠は、火星から来たとされる隕石だけでした。より確実な証拠を見つけるためには、実際に行って測定をすることがいちばんです。「ビーグル2」には、まさにそのための装置が搭載されています。着陸機は全体に貝のような形をしており、マーズ・エクスプレスの周回機に取り付けられています。周回機から切り離されると、パラシュートで減速しながら火星の大気に突入し、最後はエアバッグを開いて着陸します。これは、かつてのマーズ・パスファインダなどと同じような方法です。着陸後、この「貝」が展開されて、観測ができる状態になります。 「ビーグル2」は大変コンパクトにできています。「貝」の状態になっている段階では、最も幅が太いところで約93センチメートル、厚みも53センチしかありません。重さも着陸機そのものでわずか33.2キログラムです。 エアバッグを開いて着陸した「ビーグル2」(想像図) All rights reserved Beagle 2. 生命を探す小ぶりではありますが、「ビーグル2」には多彩な装置が搭載されています。質量分析計は、試料を加熱して炭素を二酸化炭素の形にして取り出し、炭素の同位体比を測ることにより、生命が介在する時に起きる同位体比の変動が火星でもみられるかどうかを検証します。 着陸船には、パノラマカメラと試料撮影用カメラの2種類のカメラが搭載されています。パノラマカメラは着陸機の周囲の風景を撮影する一方、試料撮影用カメラは、最高6マイクロメートルの解像度で、岩石試料の表面の様子や内部の風化具合などを細かく観察します。 メスバウワー分光計は、ガンマ線を利用して鉄の酸化具合を測定することにより、火星表面の鉄分の様子を知ることができます。さらに、X線分光装置は火星表面の岩の年代を測定するために用いられます。 さらに、火星の紫外線量、温度、気圧、風速・風向、ちりの量などを測る装置も詰まれています。 ビーグル2は火星に着陸してから、約180日にわたって観測を続ける予定です。 観測装置などが展開された着陸船「ビーグル2」(想像図) All rights reserved Beagle 2. 火星から音楽が?さらにこの「ビーグル2」には、ちょっと変わった仕掛けがなされています。火星に到着すると、「ビーグル2」から信号として音楽が流れてくるようになっています。この音楽を作曲したのは、実はイギリスの有名なロックバンド、ブラーです。 関連リンク
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