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マーズ・エクスプロレーション・ローバ  主な成果

2005年1月5日現在

ここでは、マーズ・エクスプロレーション・ローバの写真などからわかる成果を順次掲載していきます。なお、解析などの状況によって内容が変わっていく場合もありますので、ご注意下さい。あくまでも現時点でのまとめです。

全体的な状況
「オポチュニティ」が見つけ出した水の存在の証拠は、着陸点付近がかつて、かなり長い間にわたって大量の水が存在していた環境であったことを実証するものでした。このことから、この地域には海、または湖のような環境があったことが考えられます。
「スピリット」の方は大量の水の存在を実証するような証拠はありませんが、岩石内などの水の存在を確かめることで、液体の水が火星には普通に存在していたことを証明しています。
また、両ローバとも長距離にわたる移動を行い、自律走行技術などの実証が進んでいます。

(2005年1月5日現在)

  • 「オポチュニティ」が、火星表面で雲と霜を観測しました。
  • 「スピリット」が発見した岩から、リンを多量に含む岩石が見つかりました。また、水がないとできない鉱物である針鉄鉱も発見されました。これはさらに水の存在を裏付けるものです。

(2004年4月2日現在)

  • 「スピリット」が分析していた岩「マザトザール」の中に、かつてこの岩が水の中にあったことを示唆する構造が見つかりました。
  • 岩を削って顕微鏡カメラで観察したところ、岩石の内部に白い筋が走っていました。この筋は岩の割れ目で、その筋に沿って水が入り込み、やがてその水から結晶が晶出したものと思われます。
  • また、岩石内部の臭素/塩素比が異常に高いことも分かりました。かつて塩分濃度が高い水の中にあったことが推定されます。


(2004年3月25日現在)

  • 「オポチュニティ」が着陸した場所が、かつて火星の海のなぎさのような場所であったことがわかりました。
  • 岩の中の成層構造を分析したところ、構成している粒子の中に、波の力を受けて固まったような跡があることが分かりました。
  • また、堆積した物質が流れのある水の中にあったという証拠も見つかりました。


(2004年3月19日現在)

  • 「オポチュニティ」着陸点付近に多数存在する小粒(通称「ブルーベリー」について、その成因が水と関係しているらしいことが分かりました。
  • 「ブルーベリー」内に赤鉄鉱(ヘマタイト)が多量に含まれていることが分かりました。このことから、「ブルーベリー」が水の中で形成されたことが推測されています。


(2004年3月10日現在)

  • 両ローバは、人類としてはじめて、他の惑星の表面での日食を観測しました。


(2004年3月8日現在)

  • 「スピリット」が調査した岩「ハンフリー」に、過去に水があった証拠が見つかりました。これは、岩石内の結晶に、水から晶出したと思われる結晶があったことを発見したというものです。「オポチュニティ」による水の発見とは異なり、大量の水が長期間存在したことを示すものではありません。


(2004年3月3日現在)
「オポチュニティ」による探査の結果、火星の表面に、かつて液体の水が比較的長い期間にわたって存在している証拠が発見されました。
水が存在していた証拠としては以下のような点が挙げられます。

  • 岩石の中に、比較的硫黄を多く含む岩がみつかっている。探査の結果、硫酸塩鉱物が火星に存在することが判明した。
  • スペクトルなどの調査により、鉄ミョウバン石と呼ばれる鉱物が火星に存在していることが確かめられた。この鉱物は、酸性の湖、あるいは酸性の温泉のような環境で作られる。
  • 「オポチュニティ」が探査した岩「エル・キャピタン」の中に、1センチメートル程度の多数の小さな穴が発見された。これは、水の中で結晶が成長したあと、結晶が溶けて、鉱物がそれによって水に溶けたためにできたものである。
  • 水が流れた跡で作られる地層の特徴「斜層理」が岩石にみつかった。
これらの証拠により、鉱物学や地質学的な視点から、火星にかつて液体の水が存在している可能性がかなり高まりました。


(2004年2月10日現在)

  • 「オポチュニティ」が着陸した地点付近の岩は成層構造をしています。これは、何らかの堆積作用があったことを示しています。水によるもの、風などによるもの、あるいは火山灰などの堆積があった可能性などが考えられますが、最も可能性が高いのは、水の作用による堆積であろうと科学者たちは考えています。
  • 「オポチュニティ」が探査した、クレーター内の露出した岩「ストーン・マウンテン」の一部、「ロバート・E」という岩の近接写真には、粒状の物質が写っていました。この小粒の起源は、火山活動、あるいは隕石の衝突などにより、岩が溶けるようなできごとが起きてできたものであると考えられています。また、水中に溶解していた物質が凝集してできた可能性もあります。
  • 「スピリット」が探査した「アディロンダック」という岩は、化学分析の結果、玄武岩であることが分かりました。


(2004年2月1日現在)

  • 「オポチュニティ」着陸点周辺の土壌に、ヘマタイト(赤鉄鉱)を含んだ土壌が見つかりました。おそらく、着陸したクレーターの周囲の土壌に、この赤鉄鉱が多量に含まれていると考えられます。


(2004年1月31日現在)

  • 「オポチュニティ」が着陸した地点周辺に露出している明るい色の岩には、層状の構造(地層)がみとめられました。このことから、この岩が堆積岩であり、水の作用で生成された可能性が出てきました。なお、火山灰の堆積や風による堆積の可能性もあります。
  • 「アディロンダック」(Adirondack)の顕微鏡カメラを使った分析により、岩が固く結晶質であることが分かりました。
  • 「アディロンダック」のメスバウワースペクトロメータによる解析で、内部に含まれる鉱物は、かんらん石、輝石、磁鉄鉱などであることが分かってきました。この組み合わせは、玄武岩などでよく見られるものです。
  • パノラマカメラによる太陽光のモニタにより、火星大気中のちりの量が推定できていますが、この量が徐々に減ってきています。これは、12月に発生していた大規模な砂嵐が収まりつつあることと一致しています。


(2004年1月21日現在)

  • メスバウワースペクトロメータの観測により、砂の中からカンラン石が発見されました。比較的風化に弱いカンラン石が発見されたということは、砂が非常に細かいものか、砂の層のすぐ下に、カンラン石を含むような岩が存在している可能性があります。
  • アルファ粒子・X線スペクトロメータの観測により、土の中に塩素や硫黄といった元素が存在することが確認されました。これらの存在は、これまでの火星の土の測定結果に近いものです。また、土の中に硫化物や塩化物が存在することが示唆されます。これらは、湖から水が蒸発した際に生成したか、あるいは火山から運ばれた可能性が考えられます。

(2004年1月10日現在)

  • 熱放射スペクトロメータの観測から、着陸点の周囲に、炭酸塩鉱物が存在することが確かめられました。炭酸塩鉱物は、炭素を含む無機質の鉱物で、いちばん身近なものとしては、炭酸カルシウム(石灰岩=CaCO3)があります。炭酸塩鉱物は、水が介在してできることが普通です。例えば地球では、海水中に含まれるカルシウムなどが沈殿して石灰岩などができます。炭酸塩鉱物の存在は、間接的ではありますが、火星にかつて水があったことを示す証拠ともいえるでしょう。
  • 熱放射スペクトロメータの観測から、着陸点のまわりにある砂の中に、水を含む鉱物(含水鉱物)が存在することが確かめられました。含水鉱物は、鉱物の検証の中に、分子に結びついた形で水を含んでいる鉱物のことで、身近な例でいえば石膏などがそうです。今回の観測でみつかった鉱物は、石膏やゼオライトなどではないかと考えられています。
  • 熱放射スペクトロメータの観測から、表面にケイ酸塩鉱物があることが分かりました。ケイ酸塩鉱物は地球などで最も普遍的に見つかる鉱物です。
  • 火星表面の砂がエアバッグなどに付着していることからみて、砂が乾燥しきっているのではなく、ある程度の粘着性があるものではないかということが考えられます。
  • 着陸点から10〜20メートルほど離れたところにあるくぼ地(スリーピー・ホロー: Sleepy Hollow)は、恐らくはクレーターではないかと思われます。
  • 1号機「スピリット」が着陸した地点は、これまでの探査に比べて岩石などが比較的少ない場所のようです。着陸地点としては岩石があまりごつごつしていない場所がよかったため、事前の調査の正確さが裏付けられたことになります。


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