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月探査機
セレーネ2 探査の概要

■世界的な潮流となりつつある着陸探査に向けて
月・惑星探査には、「周回→着陸→サンプルリターン」という形で、探査が進んでいくという大きな流れがあります。月探査ももちろん、その例外ではありません。 1990年代中頃から2000年代にかけて、日本も含めた世界各国が月を周回する衛星を次々に打ち上げ、上空からの探査を実施してきました。これにより、月全体についてこれまでとは比べものにならないほど、多くの情報を私たちは得ることができ、科学的にもいろいろな成果が上がりました。
そしてその次の段階として、月に着陸し、ある一定の地域を詳細に探査する段階に入ってきています。すでに2013年12月には中国の「嫦娥3号」が月面着陸に成功し、着陸機、及びローバーでの探査を継続しています。
上空からの探査ではわからない、非常に詳細な月の表面の物質組成の解析や岩石の成り立ち、地形の状況などを調べることで、その地域がどのようにしてできたかを明らかにすることができると共に、周回探査機のデータと比較・検討することで、月全体にその知識を大きく広げることができるようになります。また、その次の段階のサンプルリターンは当然のことながら着陸が必須ですから、着陸技術を得るという意味でも着陸探査は重要です。また、ローバーを使ってより広い地域を調べることができれば、私たちはより多くの知識を得ることができるでしょう。
この、新しい段階に入った月探査に向け、日本(JAXA)が検討している月着陸・ローバー探査が、セレーネ2計画です。

■技術的な面から…将来の月・惑星探査に向けた技術習得
セレーネ2の目的は、将来の月探査、さらには他の惑星の探査に向けた技術の実証と、月の謎を探る科学探査との2つに分かれます。
まず、技術的な面からみていきましょう。セレーネ2は無人で着陸します。そのためには、探査機自身が自分で安全な着陸地点を判断し、降下、減速、着陸をすべて行わなければなりません。そのためには、探査機が取得した画像から安全な着陸地点を判断する画像処理・判別技術や、上空からの障害物検知技術、軟着陸を含めた多くの技術が必要となります。
また、科学的な探査のためには、科学的に重要な物質がある地点に降りなければなりませんが、そのためには高精度な着陸技術が必要となります。「降りられる場所に降りる」のでは、科学的な探査はできないのです。
着陸してからもいろいろな技術が必要です。もし、月に長い間滞在する場合、月の温度差(赤道付近で、昼間は100度、夜はマイナス100度、200度の温度差があります)に耐える必要があります。特に夜の低温ではしっかりと保温をしておかなければ、探査機のコンピューターや電池などが壊れてしまいかねません。しかも、夜は太陽が当たらないため、太陽電池の電力は使えません。
あらかじめ昼間のうちに太陽電池で電力を蓄えておいて夜間に保温に使う、といった、夜を越える技術(これを「越夜技術」といいます)も、今後の探査、あるいは将来の月面基地構築などの際に重要となる技術です。
また、月・惑星表面上を自由に動き回るローバー技術も、将来の惑星探査には必須といってよいでしょう。より長い距離、長い時間動作を続けるための電力や移動機構の開発、月表面の岩やクレーターなどの障害物を避けるための自律的な移動技術の開発、移動しながら上空の周回機、あるいは近隣の着陸機と通信する技術、そして科学的なデータを取得するためのロボットアームやカメラ、あるいは特殊な科学機器などの搭載技術。これらは、もちろん探査のためにも重要ですが、その後に続くサンプルリターン探査、そして他の天体で同様の探査を行う際にも基本的な技術として重要です。
セレーネ2では、実験室やコンピューターシミューレションで培われたこれらの技術を、実際の天体で実証することができると期待されています。

■科学的な面から…月の謎を高精度で探る
「かぐや」をはじめとする周回探査で月の多くの謎が解明されてきているとはいえ、周回探査はあくまで上空からの探査であり、表面のわずか下の状況がどうなっているのか、私たちはほとんど知りません。
また、月周回衛星のデータは、「かぐや」が1ピクセルあたり10メートル弱、ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)の高精度データが50センチと、一昔前に比べれば細かくなったとはいえ、砂つぶや小さな石などを調べるにはまだまだ精度が足りません。スペクトロメーターといった上空からの物質探査では、精度よく物質を同定することはまだできないのです。
着陸機やローバーにこういった月表面、あるいは少し地下の(数十センチ程度の)物質を採集し、高精度の科学的な分析を行える装置を搭載できれば、これまでとは比べものにならないほどの高精度での岩石や鉱物の組成を明らかにすることができ、周回探査のデータと組み合わせれば、その地点、地域がどのようにしてできたのかを明らかにしていくことができます。その考え方を拡張していけば、月のでき方や歴史などをより細かく知ることができるようになるでしょう。
ローバーを使用することによって、科学者が興味を持つ岩石や鉱物などに直接近づいて、採取することもできるようになります。周回衛星であらかじめ「目星」をつけておいた場所に移動し、その岩石を取得、周回衛星のデータと比べたり、地球上の似た岩石や鉱物のデータと比べれば、そのでき方などを明らかにすることができるようになります。
周回衛星では絶対といっていいほど取得することができないデータとして、地震のデータがあります。地震波を周回衛星でキャッチすることはできません。アポロ計画で月に地震があることがわかり、その地震波データの解析で、月の内部構造がかなり明らかになってきました。しかし、アポロのデータは当時の技術の地震計のものであり、すでに解析するにはかなり限界があります。現代の最新の技術を使った高精度の地震計を設置することで、質の高い地震波データを取得し、月の内部構造を明らかにすることができれば、月の内部構造の解明に直接寄与できるデータを提供することができます。
このように、セレーネ2では、周回機で得たデータをもとに、次のステップへ科学探査を深めることを目的とした、様々な探査が検討されています。

■構想から20年を経て検討が続く
そもそも、月に着陸機を下ろすという構想は、日本では1995年、当時「大型月周回機」と呼ばれていた、宇宙開発事業団(NASDA)と文部省宇宙科学研究所(ISAS)(いずれも当時)の共同月探査計画時代からありました。
後に「かぐや」(セレーネ)と呼ばれることになるこの計画では、探査の最終段階で探査機の一部が切り離され、月着陸実証試験を行うことになっていました。
残念ながらこの計画は1999年〜2000年の計画見直しでキャンセルとなりましたが、計画の一部は科学者・技術者で引き続き検討され、「セレーネB」構想としてまとめられました。2000年代後半からは、「かぐや」の次の月探査計画「セレーネ2」として、科学的な面も含めた検討が本格化し、現在に至っています。
セレーネ2計画は、JAXAは「2010年代なかば」に実現するとしていますが、現時点でもプロジェクト前段階にあり、実現の見通しは立っていません。



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