LROの打ち上げ年が2008年に正式決定 (2006年5月19日17:00)
ルナー・リコネサンス・オービターの計画全体にわたる審査が17日に行われ、計画は次の実装段階へ進むことが認められました。
審査により計画が確認されたことで、NASAとして公式に、LROの打ち上げにかかる費用の見積もりなどが認められたことになります。計画が予算以内に収まっていることが確認され、打ち上げは2008年10月に行われることが認められました。
LROは、約30年にもわたる月探査の空白の後に打ち上げられる、NASAの月探査機です。探査機は、高度約50キロメートルから精密な地図作成を行い、将来の有人月探査に備えるべく、6つの測定装置を搭載し、1つの技術実証を行います。
探査機はNASAの
ゴダード宇宙センターで組み立てられており、測定装置はロシアをはじめ、アメリカのさまざまな期間から提供されています。測定装置により、月全体の地図を撮影するほか、
- 有人月探査の際の安全な着陸場所の調査
- 月の極の温度と日射の変化のパターン調査
- 水などの資源調査
- 放射線量や、それが人間に与える影響の調査
などを行う予定です。
探査機の次の大きな山場は、今年後半に行われる予定の詳細設計審査(Critical Design Review: CDR)になります。ここでは、探査機の詳細なデザインについて審査が行われ、さらに次の段階である、探査機の製造段階へ進んでよいかどうかについての審査が行われます。
LROに合わせて新たな探査機を計画 (2006年4月11日発表)
NASAは、2008年10月に予定されているルナー・リコネサンス・オービター(LRO)打ち上げに合わせて、別の探査機(月クレーター観測探査機=LCROSS: Lunar Crater Observation and Sensing Satellite…エルクロス)を送り込み、月の氷を調べるという計画を発表しました。
このLCROSSはNASAのエームズ研究センターで研究が進められてきたもので、ケネディ宇宙センターから通常のロケットにより打ち上げられる予定です。
まず、このLCROSSは上段が月の南極付近にある永久影の領域に衝突することになっています。そのときに上がる蒸気は地球からの観測が可能です。そして、探査機自体に搭載している観測装置により、水蒸気などの観測を行うことになっています。そして、この探査機自体も衝突して、そのときに上がる蒸気を、やはり地上から、あるいは月を周回する探査機から観測することになります。
NASAの探査担当取締役のスコット・ホロウィッツ(Scott Horowitz)氏によれば、「この種の探査はNASAにとってはじめてのことではない。私たちはこの探査が、この種の探査機の利点を最大限に活用して、われわれが掲げる新宇宙政策の目的に合致する、ハイリスク、ハイリターンの探査であると考えている。また、NASAで働く人に対し、この種の先進的で他にひけをとらず、また低コストの探査が非常に多くの利益をもたらすことを伝えたい。」と述べています。
LROは、アメリカの新宇宙政策の中に含まれる無人月探査(2008〜2016年)で最初に実現する探査機で、月の表面の地図を作成すると共に、月に宇宙飛行士を送りこむための最適な場所を検討するための資料を提供します。この先行的なミッションによって、着陸点や、資源の分布(酸素や水素、金属など)を得ることができ、長期的なNASAの月探査に関しても動機づけを与えることになります。
NASAとしては、この2つめの探査機について、重量が1トンを超えないこと、コストが8000万ドル(約96億円。1ドル120円換算)を超えないことを求めています。
2006年1月10日、NASAは工業界に対し、2つ目の探査機についてのビジネスチャンスを提供するための許可を出しました。また、NASAの各フィールドセンターに対し、工業界とチームを組んで、提案を出すように要請しました。NASAの各フィールドセンターでは工業界から出されたアイディア、及び内部的に検討された2つ目の探査機についてのアイディアをを吟味してきました。
NASAは、これらの提案が月探査をより推し進めるという意味で新宇宙政策をサポートするものであることを求めており、月の環境を明らかにし、将来の有人月探査における着陸場所の選定にも役立つことを求めています。この有人月探査では、商業的な取り組みと科学的なデータの収集により、NASAの新たな宇宙船であるCEV(Crew Exploration Vehicle)を建造するための「コンステレーション計画」を推し進めることになるだろうと考えています。
予備設計審査を通過 (2006年2月17日12:00)
ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)は、先日、予備設計審査(PDR: Preliminary Design Review)と呼ばれる、衛星の初期段階の設計審査を無事、クリアしました。
LROの打ち上げは2008年10月が予定されています。6つの科学機器を積み、技術実証を主目的とするこのミッションでは、火星への有人探査をサポートするテクノロジーや手法を開発することを目指しています。
予備設計審査は2月9日に行われました。プロジェクトの総費用やスケジュールといった点については検討が続いており、春ごろまでには確認審査が行われる予定です。
この次の段階は、コストなどを固めた上で、より詳細な内容についての審査を行う、詳細設計審査(CDR: Critical Design Review)が秋頃に予定されています。この段階でシステム設計についてはひととおり終了し、開発段階へと移行することになります。