全文検索 総合案内 サイトマップ
> 月・惑星へ > 月探査機 > ルナー・リコネサンス・オービター/エルクロス > エルクロス・月面衝突
月・惑星へ

月探査機
エルクロス・月面衝突

エルクロスが月面に衝突する際、十分な速度で衝突することで、大量のちりを上空に巻き上げることが期待できます。ちりがたくさん舞い上がれば舞い上がるほど、観測もしやすくなります。
今回、エルクロス(セントールロケット第2段部分)の衝突の際の速度は、秒速2.5キロメートルになります。この速度は実に、マグナム44口径拳銃の弾丸のスピードの5倍、時速に直すと9000キロ(マッハ約7.5)という途方もないスピードです。

衝突の際の角度は、月面に対して約80度ほどになります。このような高い角度を得るため、エルクロスは、月の周りを単に回るような軌道を周回するのではなく、月と地球の公転面に対して角度をつけた軌道を回ります。つまり、エルクロスは、月と地球の周りを回りながら軌道を少しずつ調整し、最後に月面に衝突することになります。

エルクロスは、本衛星と、セントールロケット第2段の2つの部分からなります。まず最初にロケット第2段が月面に衝突、その4分後に本衛星も月面へと衝突します。つまり、本衛星が最初の衝突の観測を行える時間はたったの4分間しかないということになります。
また、狙った地点へ正確に衝突するため、エルクロスの軌道制御は精密である必要があります。ほぼ半径10キロメートル以内に衝突できるように制御することになっていますが、実際の成魚は、半径1.2キロメートル以内に収められるようにする予定です。一見乱暴にみえる探査ですが、このように精密な計画に基づいているのです。

セントールロケットの衝突によってできるクレーターの大きさは、直径が約27メートル、深さが5メートルほどになると考えられています。これに対し、本衛星が衝突してできるクレーターの大きさは、直径18メートル、深さ3メートルほどになると考えられています。衝突の瞬間には閃光が走ると思われますが、その時間はごく短く、おそらく100ミリ秒ほど(0.1秒)しかないと思われます。そして、衝突によって発生したちりが飛び散る速さは、秒速250メートル(時速900キロ)と、ジェット機並みのスピードになると考えられています。

なお、1998年に月面へ衝突したルナープロスペクターは、衝突の際におそらくクレーターを作ったと考えられていますが、この探査機は重量が軽く(348キログラム)、速度も遅く(秒速1.7キロメートル)、さらには衝突角度が6度と浅かったため、クレーターは小さかったと見積もられています。

衝突までの様子については、こちらをご覧下さい。



▲このページのトップへ