嫦娥2号 探査の概要
■1号をさらに進化させた嫦娥2号
嫦娥2号は、嫦娥1号の予備の機体を元に製作され、2010年に打ち上げられるとみられている、月周回機です。
嫦娥1号は、2007年に打ち上げられ、1年半近くにわたった観測ののち、月面に落下しました。しかし、嫦娥1号は、観測高度が200キロと、「かぐや」や「チャンドラヤーン1」に比べると高い高度でした。このため、カメラの観測精度なども他の探査機に比べると低く、公表されている数値では120メートルということです(ちなみに、「かぐや」は10メートル、「チャンドラヤーン」はものによっては数メートルといわれています。なお、アメリカの「ルナー・リコネサンス・オービター」は、最大50センチの解像度を持つカメラを搭載しています)。
今回の嫦娥2号では、機器について、また観測そのものについても進化を果たし、世界一流の性能を持つ探査機として月に向かおうとしています。
■大幅に向上した性能
嫦娥1号と比べ、同じ周回機でもある嫦娥2号は、大幅に性能が上がっています。
- 観測高度を200キロから100キロに
- 「かぐや」や「チャンドラヤーン1」と同じく、高度を100キロに設定しています。月の重力場は不安定なため、高度を下げれば下げるほど厳密な軌道制御が必要となりますが、この「嫦娥2号」ではその軌道制御にチャレンジするほか、100キロ×15キロという極端な楕円軌道も取り、特定の地域(極地域とみられます)に近づいてより詳細なデータをとることが計画されています。
高度を下げることにより、カメラの解像度などが向上することが期待されます。
- より高性能なカメラを搭載、解像度を向上
- 嫦娥1号の月面解像度は120メートルと、同時期に打ち上げられた他の探査機に比べて見劣りがするものでした。今回、嫦娥2号に搭載されるカメラは、性能を向上させたもので、周回高度が下がったこともあり、最高解像度は7メートル程度と、「かぐや」に匹敵する性能が得られると期待されています。
また、大量のデータが発生することから、データ転送レートも向上させることになります。
- 月軌道への直接投入
- 前回の嫦娥1号では、月軌道には直接行かず、一旦地球周回軌道でとどまりながら月を目指しましたが、今回の嫦娥2号は、直接月軌道に投入されます。月へは1週間程度で到着する予定です。
- 各種機器を搭載
- 落下カメラ(落下しながら何かを捉える機器の模様。詳細は不明)や、中国独自開発のXバンド送受信機などを搭載しています。また、性能も嫦娥1号に比べて向上しています。
■嫦娥3号に向け、着陸点を探る
嫦娥2号の大きな目的は、より詳細に月表面を探査することですが、そのデータにより、そのあとに続く嫦娥3号(着陸機及びローバー)の着陸場所を探すことが最大の目的でもあります。
嫦娥3号についても中国は既に開発を進めており、世界ではじめて月面望遠鏡を搭載して月面観測を行う計画となっています。嫦娥2号では、このような観測に適した場所を探すための、詳細なデータを送ることになるでしょう。
なお、嫦娥3号の打ち上げは、2012〜13年頃とみられています。
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