アメリカの新宇宙政策の要旨
ここでは、アメリカ・ブッシュ大統領が14日午後(現地時間。日本時間では15日早朝)に行った、アメリカの宇宙政策に関する演説のうち、有人月探査、月惑星探査計画などに関する部分を箇条書きでまとめます。
内容は http://www.nasa.gov/pdf/54868main_bush_trans.pdf
ブッシュ大統領の演説記録をもとにしています。またこのまとめは、「月探査情報ステーション」のスタッフが作成したものです。
新宇宙政策における3つの目標
- 国際宇宙ステーション(ISS)を2010年までに完成させる。この2010年までに、現行のスペースシャトルを引退させる。
- 現在のスペースシャトルに代わる輸送手段として、新しい宇宙船(CEV: Crew Exploration Vehicle: 宇宙探査輸送機)を開発する。2008年までに開発・テストを行い、2014年までに有人飛行を行う。
- 早ければ2015年、遅くとも2020年までに、有人月探査を行う。月面に生活と作業のための拠点(月面基地)を設ける。
詳細
- ISSの役割は、宇宙空間に人間が長期滞在した場合の影響の調査や、無重力や放射線環境といった宇宙環境の影響の研究などに重点をあてる。
- コロンビア事故調査委員会(CAIB)の勧告を尊重した上で、ISSの完成を目指し、シャトルの飛行をできるだけ早く再開する。シャトルの役割はISSの建造に集中させる。
- CEVは、スペースシャトルが引退したあと、宇宙ステーションへ人員や資材を輸送する能力を持つ。しかし、CEVの主な役割は、宇宙飛行士を他の世界へ運ぶ(to carry astronauts beyond our orbit to other worlds)ためのものである。このような宇宙機は、アポロ司令船以来のものとなるだろう。
- 月面基地は、さらに将来的なミッションへの拠点として利用されるであろう。
- 2008年以降、将来的な有人探査への準備として、無人の探査機を月面へ送り込む。
- CEVを利用した有人月探査は、早ければ2015年には始める。その目標は、月面で生活し、仕事をすることであり、またその滞在時間を増やすためである。
- 月に戻ることは我々の宇宙計画の重要なステップである。これにより、さらに遠くへ向かうための費用を劇的に削減することができ、さらに野心的なミッションを計画することも可能になる。
- この構想を検討するために、有識者で構成される私的な委員会を設置する。4ヶ月以内に第1回の委員会を開催し、その結果を大統領に報告する。委員長は元空軍長官のピート・オルドリッチ(Pete Aldrich)氏である。
- この計画を実施するために、予算の再配置などにより、NASAの今後5年間の予算(約860億ドル=約9兆4000億円)のうち、約110億ドル(=約1兆2000億円)を活用する。
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