付録 4:

太陽系の起源

by フランク・クレリー、C.U. バウルダー


ここでは、太陽系の初期の歴史上の出来事についての現在の理論の概要を簡単に 述べます。
  1. 最初に星間ガスやチリでできた雲(“太陽星雲”)がありました。その雲はそれ自身の重力により収縮したり、かき乱れたりしていました。また、付近にあった超新星の爆発による衝撃波などによってもかき乱れることもあったでしょう。

  2. その星雲が収縮するにつれ、その中心部は高温高圧になりチリが蒸発して気体となってしまいます。この初期の収縮は、始めから10万年もたたないうちに起こったとされています。

  3. 中心部は圧縮されて原始恒星となります。一方で、残りの部分は中心部の周囲を回転したり流動したりします。 ほとんどのガスは中心部に向かって流れ込んでいき、形成されようとしている太陽の質量を増加させていきました。しかし、太陽の周囲にとどまり回転するものもあります。回転で生まれる遠心力により、いくらかのガスはその中心の星にとどかず、その代わりに周囲に「降着円盤」を形成しました。その円盤はエネルギーを放射し、やがて冷却します。

  4. 最初の分岐点が訪れます。 詳細な条件によって違いますが、恒星/原始恒星の軌道上にあるガスが不安定となり、そして自分自身の重力により収縮が始まります。この収縮の結果、二重星が生まれる場合もありますが、もしそうでなければ...

  5. ガスは十分に冷却されると、その中の金属、岩石そして(十分に星から遠くにあった場合は)氷が固まって微粒子になります。(すなわち、いくらかのガスは再びチリとなります。)金属は「降着円盤」ができた直後(いん石の放射性同位元素を用いた年代測定法によれば、現在より45.5-45.6億年前)に固まりました。岩の方はやや遅く(40から45億年の間)に固まります。

  6. チリ状の粒子はお互いに衝突し、より大きな粒子を形成していきます。これは大きめの石の大きさ、または小さな小惑星の大きさになるまで続きます。

  7. 飛躍的な成長が訪れます。 ひとたびこれらの粒子がある程度の大きさの重力を持った場合は、その成長が加速します。たとえその重力が非常に小さくても、その重力を持った粒子は、他のより小さな粒子よりも大きな力を持ちます。 つまり、重力の大きな粒子は、より小さな粒子をとてもすばやく引き寄せます。同じ軌道上のすべての固体を集めてしまった結果、大きな物体が出来上がります。どれくらい大きくなれるかは星からの距離と原始惑星の星雲の成分や密度によります。太陽系についての現在の理論では、内惑星系では大きな小惑星からの大きさ程度が限度であり、外惑星系では地球の大きさの15倍がその限度の大きさであるとされています。 現在の火星の軌道と木星の軌道の中間の距離の所で、大きさについて大きな違いが生まれました。太陽のエネルギーによって太陽に近い距離にある氷は蒸気になってしまっていましたが、ある距離以上離れた場合には、固体の降着物質がもっとありふれたものになっていました。これらの「微小惑星」は、2、30万年から、形成に最も時間がかかる一番遠いものでは約2000万年かかって、降着したと考えられています。

  8. 2つの事が第2の分岐点です。これらの原始惑星はどのくらいの大きさを持っていて、どのくらいの時間で形成されたのか? このころには(太陽系の形成が開始されてから約100万年後)、太陽は非常に強い太陽風を起こしていました。その太陽風は、原始惑星の星雲の中にとどまっていたすべてのガスを吹き飛ばしてしまいました。もし、ある原始惑星が十分に大きく、かつ十分に短時間で形成されていたならば、その惑星の重力により周囲の星雲ガスを引き寄せ、巨大なガス体となっていたでしょう。もし、そうでなければ、惑星は岩石もしくは氷のままでとどまっていたでしょう。

  9. このころは、太陽系は、固形物の原始惑星と巨大なガス体とで構成されています。 「微小惑星」は、お互いにゆっくりと衝突しその重量を増していきます。

  10. 1千万年から1億年の後、ついに安定した軌道上に10個前後の惑星が形成されて終わりをみることになります。すなわち太陽系です。最後に、惑星やその表面を大きく変えてしまうような、惑星が経験した中で最も大きな衝突が起こったようです。(このことは、例えば、金星の組成における金属含有量の多さでわかることですが。)

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フランク・クレリー 作 ビル・アーネット HTML 1995 April 30 更新
林原 泉 訳 1996 June 22, 12月29日更新