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月を知ろう

月に関する研究発表
パネルディスカッション第3部「月旅行」


No. 6 2001年03月20日【火】20:42 今村 雄一郎
たしかに、月そのものを見るというのも、いいでしょうね。地球から見る月というのとは、きっとぜんぜん違いますから。貝殻集めのように、月の石を拾ったりしたいですし。

また、小さな重力を使って、様々な遊びをしてみるのが、楽しいと思います。
コートのサイズを16倍(でしたっけ?)にして、野球などの球技。
地球よりも高い山のロッククライミング。
山あり谷ありのコースを走る(時には、ジャンプで飛び越す)長距離レース。
空を見上げれば地球が輝いている世界で、4分の1の重力を楽しめるのではないでしょうか。
ただ、ひとつの問題点は宇宙服が邪魔になるということですね。動かしやすい宇宙服ができないと無理でしょうか。

また、栃木の男性から、次のような意見もいただきました。ありがとうございます。
> 「ジュール・ヴェルヌの小説である「月旅行へ行く」の追体験をする」
> でしょうか?
> 様々な時間帯に色々な高度から月面上をみるだけでも
> かなり興味深いとは思うのですが。
> これに加えて、月面全体(というか視界の範囲で)
> 昔の小説に出てきたような状況を投影できると、
> 面白いのではないのかなとおもいます。」

月をテーマにした、SFは結構たくさんありますし、「2001年宇宙の旅」をまねてチコの中心を掘ってモノリス探しもおもしろいでしょうね。
SFという、人類が描いてきた「夢」を形にしたら、きっと、すばらしいのではないでしょうか。
ただ、単なるリゾートになってしまい、月のほんとうのすばらしさが消されてしまう危険性もありますが・・・。

No. 7 2001年03月30日【金】04:52 松浦 晋也
 もう一回夢を語る機会を与えられたので、「夢の実現方法」と言うことについて書いてみます。

 日本固有の現象なのか、それとも人類はすべからくそうなのかは分かりませんが、ちょいと思いつきで、例えばそれこそ「月に行きたい」などと言うと、「どうしてそんなことができるんだ」と否定形で反応する人がいます。いますどころか、非常に多いと言っていいでしょう。

 実は月一周ローバーレースについて、あちこちで話の種にしてみると「そりゃむずかしいなあ。月に軟着陸をするのに必要なデルタVを知ってるかい」とか、「月表面の昼と夜の温度差では、たぶん電子機器が持ちませんよ」とか、それでも技術的な否定形を語る人はまだいいほうでして、一番困るのは「日本政府はそんな予算くまないよ」という反応をします。

 こっちは面白そうな思いつきを話しているだけなのに、なんで予算の話まで持ち出して否定せねばならんのか。なんか俺に恨みでもあるのかといえば、別にない。ごく普通のつきあいの人がそう言うんですね。

 夢は夢見なければ実現しないですし、夢見続けて手を動かさなければ実現しません。はじめからあきらめたら可能性はゼロになります。本当はできたかもしれないことも、できなくなる。

 かくいう私も時々「そりゃだめだ」と言ってしまう時があります。H-IIAが1機85億円以下のコストを目指すと聞いたときも、「そりゃいくらなんでも問題じゃないですか」と言ってしまいました。

 後悔しています。私はそのとき「そりゃいいや、どんどんやって私も月にいけるようにしてください」と言うべきだったんですね。

 以下,もう少し月ローバーレースについて。

 目標は,月一周なのですが,マゼランの前にコロンブスあり,ということで,その前段階も必要でしょう。
 最初はアポロ12号とルナ・サーベイヤー(確か数百m離れて着陸していましたよね)をポールに見立てて周回レースでしょうか。
 アポロの着陸地点は,月の表の赤道部分なので,それをオリエンテーリングのように巡るというのもいいかもしれません。

 レースとして成立させるには観客の目となるカメラもいりますから,カメラ班もカテゴリーを分けてレースに参加するようにすると面白いでしょう。どのカメラが良い絵を撮るかでコンテストをやるのもいいでしょう。

 「そんなことをやるお金があるのか」「国家の予算をそんなことにつかえるか」という意見がでるでしょうが,できるような条件を整えていく方向で考えるのが重要じゃないかと思います。例えば,H-IIAクラスの打ち上げ手段のコストが1/10になったら,F-1チームの年間予算とトントンになりますよね。

 ある程度技術試験をしておいてから,各F1チーム「君たちは地球では一番かもしれないが,月では三番目だな」などと挑戦状をおくりつけるのも,面白いかも知れません。

 以上,ちょっと,飛ばしてみました。

松浦

No. 8 2001年04月01日【日】16:25 今村 雄一郎
少し、テーマからはずれますが、夢ということについて書きたいと思います。

>  夢は夢見なければ実現しないですし、
> 夢見続けて手を動かさなければ実現しません。
> はじめからあきらめたら可能性はゼロになります。
> 本当はできたかもしれないことも、できなくなる。

銀河鉄道999などを書かれた松本零士さんが講演会で話しておられたことですが、今の社会を形作っているのは、現在の大人が見た「夢」が元になっている。

ベルヌや、ドラえもん、鉄腕アトム・・・。当時描かれた形状や様式が結構、現在の様々なものに反映されている。
幼い頃に描いた「夢」が無意識のうちに人々の心に根付いているのではないだろうか。

だから、みなさん、どんどん、「夢」を見てください。

確かにわかる気がします。最近は特に非常に現実主義に基づいていますが、もっともっと、夢をみることが大切なのかもしれませんね。それが結局、未来をつくる最大の原動力になっているのかもしれません。

No. 9 2001年04月03日【火】14:40 園山 実
パネラーの皆様、ありがとうございました。

皆様のお話、会場の方からのコメントを聞きながら色々な夢をみさせていただきました。

松浦さんのという言葉にもありました通り、夢というのは「実現に向けてのスタート」であり、それを単なる空想(「夢物語」の「夢」)と捉えてしまっては何も実現しないと認識することは極めて重要だと思います。

特に未知のフロンティアを対象とする宇宙開発や月探査は人類の「夢」とオーバーラップする点が多く、これから展開される様々な活動が私達の夢とどういう風に結び付いているのかをしっかり確認し、アピールしていく必要があるのだと思います。

今村さんのご発言の中の「追体験」という言葉にありました通り、過去に人類が描いてきた夢を実際に体験するというのは、人間として生を受けた私達が堪能できる幸福の一つであることは間違いないと思います。
アームストロング船長の最初の一歩には、これまでに多くの人類が抱き続けてきた「夢」が重ねられていたはずで、その「夢」を厳粛に受け止める気持ちが「人類にとっての大きな一歩」という言葉に現れていたのだとも思います。

さて、これまでに皆さんに語っていただいた「夢」を俯瞰すると、
1)月を楽しむ
 月そのものを楽しむ。月を探検する
2)地球を楽しむ
 月やその近傍から見える地球を楽しむ
3)非日常の環境を楽しむ
 月特有の環境を利用して楽しむ
4)地球から離れてのんびり静養する
といったことにまとめられそうです。
まずは月に行けるようになった喜びを堪能し、その後、様々な人間活動の場として月を楽しむという基本的な整理ができそうです。

また、これまでに本シンポジウムで実施したアンケートの結果
http://moon.nasda.go.jp/ja/enq/1999/index.html
などからみると、1)や2)の夢を抱いている人が多いことがわかります。
基本的にはアポロの宇宙飛行士達が経験したことを自ら体験してみたいと思っている人が多く、当面は一般の人が安心して月に行けるようになることが求められているといえます。

それでは、このような状況にするために、あるいは「夢」に一歩でも近づけるために求められる課題は何なのでしょうか。

再度過去のアンケート結果を紐解いてみると、月に行きたくない理由として安全性への懸念も挙げられており、月旅行には安全性の確保が前提条件となるといえます。

また、月旅行の費用も当面は大きな課題となるでしょう。
第1回と第2回のアンケート結果を総合すると、1回の月旅行に許容される費用は50〜100万円と答えた人が全体の約29%と最も多く、100万円以内の累計で66%、200万円までの累計で79%を占める結果となっています。
100万円、あるいは200万円で月旅行を実現するためにはどのようなこと(ブレークスルー)が必要になるのか、そのあたりの課題についても考えみたいと思います。

安全性と経済性の問題を例として挙げましたが、月旅行の実現にはこれ以外の様々な課題があるはずです。
先に述べた「夢への道筋をはっきり示すこと」もその課題の一つです。松浦さんにご紹介いただいた月ローバーレースを無人ミッションで実現するようなことを前倒しでできれば、夢の実現の原動力となる様々なマインドが養われていくことでしょう。
逆に「こんなことをやっていったい何になるんだ」と思われてしまうようなことしか展開できなれば、夢はどんどん萎んでいってしまうでしょう。

パネルディスカッションの時間もあと2週間足らずしか残されておりませんので、
  • 考えられる課題
  • どのように課題を解決していくべきか
という2点をパネラーの方々に語っていただきたいと思います。
(本パネルディスカッションは4月15日に終了の予定です。)

できればあと2巡くらいしたいところではありますが、もしかすると最後のご発言となる方もいらっしゃるかもしれませんので、その点も踏まえてお言葉をいただければと思います。

それではパネラーの皆様、宜しくお願いいたします。

No. 10 2001年04月04日【水】15:10 パトリック・コリンズ
スペーストピアのコリンズです。

今後、月面の観光地としての大事なアトラクションが鳥のように飛ぶことだと思います。重力が地面の6分の1なのでほとんどの方々がよく飛べるでしょう。

これはSF作家のロバート・ハインラインの「地球からの脅」というショート・ストーリーできれいに説明されています。ハインライン氏がエンジニアだって、物理学的に現実的です。

月面が観光地になったら「鳥人間スポーツ」のブームがあって、「月面飛ぶオリンピック」が開催されれば大人気になると思います。

月面のもう一つの大事な活動が氷の輸出だと思います。低地球軌道でのホテルの水(液体酸素も含めて)の需要が毎年何千トンになったら月面の経済開発に大事なビジネス・チャンスになると思います。

月面からの輸出が始まったらそのための経済成長の上で観光地のインフラストラクチャが造りやすくなるでしょう。

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