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グレイル 探査の概要
月の重力場の解明を目指して
月の重力、すなわち、月の表面(あるいは上空)がどのくらい月に向けて引っ張られているか、ということは、月の内部構造を知るためにも重要です。重力は、月の内部にある物質の重さによって決まりますから、重い物質があれば重力は強く、軽い物質があれば弱くなります。
この原理を使えば、月の周りを回ることで、月の重力を調べ、ひいては月の内部構造を知ることができるというわけです。
これまでも、多くの探査機が重力測定を行ってきました。ルナープロスペクター、そして日本の「かぐや」も、月の重力を調べるための装置を搭載し、それによって詳細な重力分布図が作られてきました。
しかし、詳細であれば詳細であるほど、月の内部構造をより詳しく知ることができます。特に、地域的な重力の違いは、地下構造の地域的な違いを反映しているとも考えられますし、もっと奥深いところ、特にマントルやコア、といったところについても調べることが重要です。
グレイルは、この月の重力場を、これまでにない高精度に測定し、月の重力を詳細に調べることを目的にしています。
月の重力場を詳細に調べることで、次のようなことが解明できると期待されています。
- 地殻やリソスフェア(地殻とマントル上部を含む、岩石質の領域)の構造の解明
- 月の二極性の解明
- 衝突盆地の地下構造の解明や、マスコンと呼ばれる重い物質の実態の解明
- 月の内部構造と潮汐との関係の解明
- 月のコアのサイズ上限の確定
グレイルにより、月の表側の重力分布については、これまでの100倍という高い精度で調べることができると期待されています。
2機の探査機による画期的な探査で、月の重力を詳細に調査
グレイルは、2機の探査機からなるという、極めて珍しい形態を持った探査機です。
2機の探査機はまったく同じ形状をしていて、共に同じロケットで打ち上げられます。しかし、地球近傍で分離したあと、少しだけ違った軌道を経由して、月へと向かいます。月までは直行ではなく、太陽ー地球のラグランジュ点をつうかする、燃料を節約できる軌道を使用し、約3ヶ月半をかけて飛行します。
月に到着し、科学観測軌道に入りますと、2機の探査機の重力観測がスタートします。といっても、望遠鏡や科学機器で何かを測るのではなく、電波を使って互いの探査機の距離を測定するシステムを使います。
探査機どうしの距離を電波を使って極めて精密に測定すると共に、地球とも2つの探査機の距離を測ります。いわば、探査機の位置を「三角測量」することによって、探査機がどれだけ月に引っ張られるのかを極めて精密に知ることができる、というのが、この「双子探査機」による重力測定の売りです。
なお、科学探査期間は90日を予定しています。探査機の高度が最低で50キロという極めて低い高度のため、月に引っ張られてしまうためです。
教育用月撮像カメラ「ムーンカム」を搭載
グレイル自身は、月の重力を調べる探査機であり、これまでの月探査機のように精密に表面の様子を調べるということはしません。従って、科学目的でのカメラなどは搭載していません。
しかし、グレイルは、教育目的でのカメラ「ムーンカム」(MoonKAM)を搭載しています。ムーンカムは、主に中学生・高校生が、カメラから得られる画像を通して月の様子を知ることができるというもので、サリー・ライド財団が支援している教育プログラムの一環です。
教員は、プログラムに登録すれば、ムーンカムで月の写真を撮影し、教材として活用することもできます。このように教育・アウトリーチ目的でも画期的なプログラムが、グレイルで実施されることになります。
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