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制約条件、検討のポイント
ご提案、ご講演いただく内容としては、大きく分類すると以下のカテゴリーになると思います。
- 月面に着陸して行う科学観測、月環境計測、月面探査技術の実証試験についての提案
- 月面探査を安全・確実に行うための探査シナリオ、着陸機システム検討など
- 月面探査、着陸機システム、着陸機誘導制御等に必要となる要素技術についての提案
検討にあたっての制約条件は以下のものです。この範囲で斬新なアイデアを募集します。
- 月面へ軟着陸させる探査計画および探査機設計であること。すなわち、月周回軌道からの探査、月面へのペネトレータ貫入などは対象としません。ただし、軟着陸させる探査機と相補的役割を果たすもの(たとえば周回探査機よるデータ中継など)については、これを除外するものではありません。
- 探査機総重量は、燃料を除いて400kg程度。またこの程度の探査機重量の場合、搭載可能な観測機器重量、探査車等の重量は合計で数十kg程度になると思われます。なおこの重量は目安ですので、ご提案にあたって重量見積もりを要求しているわけではありません。
- 今後3年程度の期間で開発できる目処がつくこと。開発が3年間で完了する必要はありませんが、3年後には少なくとも試作を開始できることが条件です。すなわち、現時点において、民生用には使われているが宇宙での使用実績が無いような技術は全く問題ありませんが、物理原理としては可能であるがハードウェアとして実現可能かどうかわからないようなレベルの技術は不適切であると言えます。
上記のように制約条件はゆるいものです。現在検討グループ内で議論している検討のポイントを以下に記しますので、ご参照ください。
[検討のポイント]
- 月面に着陸後の探査計画については、現在の検討チームでは、着陸機本体および月面移動探査車に観測機器を搭載して、月面の地質調査を行うことを考えています。しかしながら、この着陸機を使用してより大きな科学的成果、あるいは将来の月面探査・月面開発に役立つ多くの知見が得られるような提案を募集します。
- 無人探査機を安全に着陸させるためには、平坦で傾斜の緩い地点に着陸する必要があります。しかしながら月面の地図は、SELENEプロジェクトで10m分解能の地図を作製する予定はありますが、これよりも小さな岩等の障害物は探査機が着陸降下中に自律的に検知し、回避する必要があります。そのためには、障害物検知方法、検知用センサの開発、検知した後の回避アルゴリズム等の研究が必要です。
- 逆に発想を変えて、どのような地形にでも着陸できる衝撃吸収・転倒防止機構を開発することも考えられます。たとえばNASAが火星着陸に使用したエアバック方式なども1案になるでしょう。あるいは、たとえ着陸時に転倒しても、その後の探査を支障無く継続できるような探査機システムを考えるという方向もあり得ます。現実的には、ある程度大きな障害物は誘導制御により回避し、小さな障害物は着陸機構で対処するような適当なバランスが存在すると思われますが、このような範疇に含まれないような斬新なアイデアも募集いたします。
- 自律的な着陸誘導を行うためには、レーザあるいは電波による高度計、速度計などが必要になります。これらのセンサ開発も一つの技術課題です。
- この計画は、我が国の将来の月面探査にとって大変重要な技術試験でありますが、昨今の経済情勢を鑑みれば、H2Aロケットの半分程度の能力で打ち上げられる探査機の規模が現実的と思われます。すなわち、探査機の燃料を除いた部分の総重量は400kg程度となるため、搭載機器の小型軽量化も重要な開発技術となります。
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