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月を知ろう

月に関する研究発表
1999年度シンポジウム

SELENE搭載スペクトルプロファイラのS/N評価

Evaluation of S/N ratio for Spectral-Profiler

大竹 真紀子(1)、松永 恒雄(2)、春山純一(1)、大嶽久志(1)、LISMグループ

(1)宇宙開発事業団 技術研究本部 先端ミッション研究センター つくば市千現2-1-1
(2)東京工業大学大学院 総合理工学研究科 横浜市緑区長津田町4259
Makiko Ohtake(1), Tsuneo Matsunaga(2), Jyn-ichi Haruyama(1), Hisashi Otake(1)
(1)Advamced Mission Research Center, National Space Development Agency of Japan
   2-1-1 Sengen Tsukuba Ibaraki, Japan

(2)Department of Environmental Science and Technology
            Tokyo Institute of Technology
   4259 Nagatsuta Midori-ku Yokohama Kanagawa , Japan

 LISMグループではSELENE月探査周回衛星に搭載されるLISM(月面撮像/分光機器)の開発を行っている. LISMの3つの機器のうち、SP(スペクトルプロファイラ)は月面の反射を0.5〜2.6μmの範囲で連続分光することによりスペクトルデータを得、これをもとに月表層の鉱物量比や鉱物の化学組成を求めることを目的としており、これら鉱物量比や鉱物の化学組成を求めることによって月の起源と進化について重要な情報を得ることが出来る.
 SPより得られるスペクトルデータの解析では、モディファイドガウシアンとよばれるカーブフィッティングと、それによって得られた各吸収ピークからの鉱物同定までをルーティーン的に行う. また、同定された各鉱物種の量比決定や鉱物の化学組成推定も行う予定である.月面の反射スペクトルは多くの場合、宇宙における風化と呼ばれる岩石と太陽風や微小隕石その他との反応によって地球上の新鮮な鉱物の示す反射とは著しく異なっており、これら風化作用の結果、反射スペクトルが著しく平坦化することが知られている。 そのため、SPによって得られるデータを用いて鉱物量比や化学組成を推定する上では平坦化した反射スペクトルから正確に吸収の位置・深さを求める、ひいては十分なS/Nを達成することが非常に重要となる。 本講演では、我々のグループで現在推定しているSPのS/Nについて紹介する.
 推定の結果、SPのS/Nは0.7μm付近で最大となり3500〜7000程度となる。また、1.7μmより長波長側ではこの波長域用の検出器(ペルチェ素子により冷却)の暗電流が大きいためにS/Nが大きく低下する(S/Nの一例を図1に示す)。スペクトルプロファイラの感度の一例
 今回の推定により、太陽高度が高い場合および月面反射率が高い場合にはSPによって得られるデータのS/Nは十分に高いことが解った。 一方、太陽高度が低い場合には輝石やかんらん石などの吸収が存在する1μm付近でもS/Nが1000を下回る場合があり、これについては今後も検討が必要である。

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