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メッセンジャーの科学機器

メッセンジャーでは、水星の地表の様子や構成元素、地形の起伏や周辺環境、磁場など、水星の様々な面での測定を計画しています。そのため、本体の重さが400キログラムにも満たない小さな探査機であるにもかかわらず、7種類の科学測定用の機器を搭載しています。

メッセンジャーの科学機器
メッセンジャー探査機の科学機器
(クリックすると大きな絵が表示されます)
Copyright: NASA, JHU/APL, CWI、出典: NSSDC Master Catalog (NASA)

■水星撮像システム (MDIS: Mercury Dual Imaging System)
まだ人類が見たことのない、水星の4割の地表を含め、水星の全休撮影を行うことを目的としたカメラです。広角と狭角の2種類のカメラを搭載することから "Dual" (2つの)という文字が入っています。2つのカメラによって立体視(3次元撮影)を行うことも可能で、解像度は最高で1ピクセルあたり250メートルになります。

■ガンマ線・中性子スペクトロメータ (GRNS: Gamma-Ray and Neutron Spectrometer)
水星の表面に存在する放射性元素から放出されたり、宇宙線によって水星表面の元素が励起(エネルギーを与えられること)されて放出される、ガンマ線や中性子を捉えることが目的です。これにより、水星表面に存在する元素の量を測定します。さらに、太陽が当たらない水星の極地域に、氷があるかどうかを調べるのも、この機器の役目です。

■X線スペクトロメータ (XRS: X-Ray Spectrometer)
水星の表面で反射される太陽からのX線のスペクトルの中にみられる光の吸収を調べることによって、水星の表面にどのような元素がどのくらい含まれているかを調べることができます。

■磁力計 (MAG: Magnetometer)
水星が持つ磁場の強さを測ります。探査機自体の磁場を避けるため、長さ3.6メートルの棒(ブーム)の先に取り付けられています。

■水星レーザ高度計 (MLA: Mercury Laser Altimeter)
水星表面にレーザ光線を発射し、その戻り時間を測ることで、水星表面の地形の起伏を調べます。

■水星大気・表面組成スペクトロメータ (MASCS: Mercury Atmospheric and Surface Composition Spectrometer)
主に赤外、及び紫外線領域の波長の光を調べるスペクトロメータです。水星には、ごくごく薄いながらも大気があるといわれており、その大気の様子を調べます。また、赤外線領域のスペクトルを調べることで、水星表面の鉱物組成なども知ることができます。

■エネルギー粒子・プラズマスペクトロメータ (EPPS: Energetic Particle and Plasma Spectrometer)
イオンや電子など、電荷を帯びた粒子(荷電粒子)が水星の周辺(磁力圏)にどのくらいの量存在するのかを調べます。

■電波科学実験 (RS: Radio Science)
厳密には搭載機器ではありませんが、メッセンジャーから発せられる電波を利用した実験です。探査機が動くことにより、電波に生じるドップラー効果を測定し、探査機の軌道を厳密に測定します。これにより、水星の重力場や地殻の厚さなど、水星の内部構造を調べます。


450度の熱から機器を守る熱シールド

これらの科学観測機器にとっての最大の問題は、水星周辺の強い太陽光です。
水星は太陽に近いところにあるため、太陽光も非常に強くなります。その強さは地球で受ける太陽光の11倍にものぼり、そのままだと温度は450度にも達してしまいます。
そのため、メッセンジャーには強烈な太陽光を遮蔽するための板(熱シールド: Sunshade)が設けられています。これは熱に強いセラミック製の繊維でできており、この遮蔽板のおかげで、後ろ側にある探査機器はほぼ室温(20〜30度くらいの環境)で動作することができます。



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