ディープインパクト 科学機器
ディープインパクト探査機 (Photo by NASA)
ディープインパクトの主要な目的は、彗星(テンペル1彗星)にランデブーし、彗星に向けて弾丸を発射して、その内部構造を調べることにあります。そのためにもっとも重要な探査機器は、やはり発射する弾丸ということになります。
■弾丸は銅製、重さ350キロ
弾丸は円筒形で、重さは約350キログラムあります。弾丸が銅でできているのは、衝突した後、弾丸がそのエネルギーで蒸発してしまったとしても、スペクトルの観測で弾丸の物質と彗星の物質を容易に区別することができるようにするためです。
弾丸は本体から切り離されてから約1日後、彗星の太陽が当たっている面側に衝突します。衝突速度は秒速10.2キロメートルにも達し、この衝突により、直径100メートル、深さが約28メートルにもわたるクレーターができると推定されています。この衝突で舞い上がった蒸気や、衝突でできたクレーターを観測することにより、彗星の内部がどのようになっているかを調べます。
(左の原図: NASA)
■彗星内部を調べる2つのカメラ
衝突によってできたクレーターや蒸発したちりなどを調べるために、ディープインパクトは2種類のカメラを搭載しています。高解像度カメラと中解像度カメラの2種類で、それぞれ可視光カメラと赤外線スペクトロメータからなっています。
中解像度カメラは距離700キロメートルのところで解像度7メートルの性能を持ち、主に彗星全体を捉えたり、航法用に使われます。高解像度カメラはその5倍(距離700キロメートルのところで解像度1.4メートル)の性能を持ち、衝突の様子などを詳しく観測します。
弾丸が衝突してから約600秒後から観測が始まります。このとき、探査機と彗星との距離は約4000キロですが、その後次第に近づき、最高で500キロメートルまで接近します。観測は衝突後961秒まで続きます。この時点で、地球からの距離は約1億2000万キロです。
また、彗星から放出されるちりから身を守るため、探査機はデブリバンパーも装備しています。
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