カッシーニ/ホイヘンス ギャラリー
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解説 カッシーニが撮影した画像の中に、Aリングの中に存在する、プロペラ状の模様を持つ物体の位置と大きさを解明する手がかりがありました。
カッシーニのカメラによって撮影された最高解像度の画像を注意深く分析することによって、4つのかすかなプロペラ型の二重の線が、Aリング中央のどちらかというと薄くなっている場所で発見されました。画像を解析した科学者は、このプロペラ状の模様は、直径100メートルほどの小衛星(moonlet)による力学的効果を示す直接の証拠であると考えています。このプロペラ型の小衛星は、これまで見えることのなかったサイズの粒子であると考えられています。
左側の写真は輪の広い部分を示しています。写真の中にはBリング、カッシーニの間隙、Aリング及びFリングが見えています。画像のスケールは、輪の直径方向で1ピクセルあたり45キロメートルです。リングをある角度をもって観測しているため、経度方向、あるいは円周方向の画像スケールは数倍大きくなります。
中央の写真はAリングの近接写真です。プロペラ状の模様が見える半径方向の位置を示しています。写真の大きさは上下で1800キロメートルで、(衛星ヤヌスとエピメテウスによって発生する)大規模な密度波が画面の下の方に見えています。また画面中央部にも密度波が2つ見えます。この密度波が発見された部分は、輪の中でも穏やかで動きのない部分です。
右のクローズアップ画像を見ると、プロペラ状の模様は二重の長音線のようにみえます。それぞれの構造の中心には、見ることができませんが、おそらくサッカー場くらいの大きさの小衛星があると考えられます。この写真が撮影されたのは、カッシーニが土星系の周回軌道に入った2004年7月1日で、2分の1のスケールで表示しています。原画の解像度は1ピクセルあたり52メートルで、写真の中にある水平の筋状の模様は電子的なノイズであり、このプロペラ状の模様とは関係ありません。
プロペラ状の模様の先端から先端までの長さは5キロほどで、半径方向の差(先端の線がわずかながら土星に近い方向にある)は300メートルほどです。
この模様が土星を周回している間、形は変わりません。このような形で、ちょうどスピードボートが静かな湖を進んでいくときにできる波のような形で、パターンを作っていきます。このようなパターンは、波の荒い海ではみることは非常に難しいのです。同じように、科学者たちは、輪の静かな部分以外では、このような模様ができにくいと考えています。
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