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フェニックス トピックス

2007年8月1日 10:00更新
フェニックス、打ち上げ1日延期 (2007年8月1日)
当初8月3日に打ち上げ予定だったフェニックスは、打ち上げが1日延期されました。最新の打ち上げ予定は、8月4日午後3時26分34秒、または午後4時2分59秒(いずれも日本時間。現地時間では、同じく4日の午前2時26分34秒、または午前3時2分59秒)となります。
打ち上げ延期の理由は、現地の天候不良です。天候が悪化するという予報のため、ロケット第2段への燃料注入が予定の31日午後までに完了できませんでした。このため、日程に十分な余裕を持たせるため、打ち上げを延期したものです。

フェニックス、打ち上げに向け準備万端 (2007年7月3日)
NASAの次の火星探査は、極寒の極地で、かつて、あるいはいま生命にふさわしい環境があるかを調べることになります。
ローバーによる移動探査に代わって、NASAのフェニックス着陸機は火星の北極地域の氷の平原に降り立ちます。ロボットによる探査では、火星の地表近くの氷が、定期的に溶けて、微生物などを育むに十分な環境であるかどうかを調べます。このような探査を行うために、フェニックス着陸機はこれまで火星に持っていったことのない探査装置を搭載していきます。
しかしまず最初に打ち上がらなければ話になりません。打ち上げは8月3日(アメリカ東部標準時)、フロリダからです。そして、来年の春には、探査機は難しい大気降下と着陸に挑みます。
NASAの火星探査プログラム長のダグ・マッキストン (Doug McCuiston)氏はこう語っています。「『水を追え』というここ数年の火星探査の方針により、すばらしい成果が次々と挙がってきている。火星はかつては地球に非常に似ていたと考えられ、その惑星の水の歴史についての理解も深まってきている。フェニックス着陸機は、実際に火星の水(氷の形で地下に埋まっている水)に触れ、それを分析するはじめての試みで、これまでの火星探査にさらに成果を加えるものだ。」
火星の極地を含めた広い範囲で、表面のすぐ下のところに水が存在する可能性を最初に発見したのは、2002年、2001マーズ・オデッセイによる探査でした。
「フェニックス着陸機は、液体の水が土の科学成分や鉱物をどのように変化させたかを調べることにより、氷の歴史を明らかにしようとしている。さらに、我々が開発した探査装置により、極地域が原始的な微生物にとって繁殖可能な環境かどうかを確かめることができる。着陸点の科学的な特徴を明らかにするため、フェニックスは極地域の天気を監視すると共に、大気と地表の相互関係を調べることになっている。」(フェニックスの主任科学者で、アリゾナ大学のピーター・スミス(Peter Smith)氏)。
側面の太陽電池パネルを展開すると、フェニックス着陸機は幅約5.5メートル、長さ1.5メートルほどの大きさになります。2.3メートルの長さを持つロボットアームにより、地表数十センチメートルのところにあると思われる氷の層を掘削します。また、ロボットアームに搭載されたカメラと電気伝導度測定装置により、土壌と氷を調べます。着陸機に搭載された測定装置に、ロボットアームを使ってサンプルを採取し、持っていくことができます。この2つの測定装置のうち、1つは熱を加えて揮発性物質の量を調べ、もう1つは土壌の化学的成分を調べます。
レーザ光線を使って大気中の水分や地理の量を測る天候観測装置は、3ヶ月の探査期間中の天気を測定します。この探査期間は火星の春から夏の時期にあたります。また、探査機には着陸点周辺の様子を観測するカメラも搭載されるほか、降下中に着陸点の様子を撮影する降下カメラ、2つの顕微鏡も積まれます。
着陸の最終段階では、フェニックスはパルススラスタを利用した減速を行います。この方法は非常に軽量の着陸装置で行うことができ、その分科学機器を沢山積むことができます。過去の火星探査機と同様に、フェニックスも耐熱板を利用して減速し、超音速パラシュートにより降下速度を時速217キロまで減速させます。その後探査機はパラシュートを切り離し、ロケットエンジンをパルス状に噴射して時速9キロまで減速し、3本の足を出して着陸します。
「どのような方法を利用したとしても火星に着陸するというのはたいへん困難なことだ。我々のチームでは、問題点がないかどうかを調べるため、2003年より過酷な試験をずっと行ってきた。」(探査総責任者のバリー・ゴールドスタイン (Barry Goldstein)氏(NASA/JPL))
着陸点候補を探してきた科学者たちは、火星周回機からの画像を用いて、もっとも安全でかつ探査の目的に見合う場所を探してきました。現在の候補地点は、緯度としてはアラスカ北部と同じくらいのところで、広い谷にいくつかの大きな岩があるような場所です。

フェニックス着陸機、ケネディ宇宙センターに到着 (2007年5月8日)
5月7日、アメリカ空軍のC-17輸送機により、フェニックス着陸機がコロラド州からフロリダ州ケネディ宇宙センターへと運ばれてきました。
フェニックスは来年(2008年)春、火星の北極域の平原へと着陸します。ロボット掘削装置や他の装置を利用して、地表すぐ下の環境が、微小生命が成育するのにふさわしい環境であるかどうかを調べます。すでに、周回探査機のデータにより、掘削装置が掘削する範囲には氷が存在することがわかっています。
フェニックスの主任研究責任者である、アリゾナ大学のピーター・スミス (Peter Smith)氏はこう語っています。「これは私たちの探査における重大な一歩である。我々の熟練した技術者チームは、探査機の組み立てとテストを完了した。このテストにより、私たちの探査機は探査の高度なレベルの要求に合致していることが確認された。」
技術者たちは、すでに1年以上にわたり、コロラド州デンバーで探査機の組み立てとテストを行ってきました。デンバーのロッキード・マーチン宇宙システムのフェニックス計画責任者であるエド・セディビー (Ed Sedivy)氏は、「また火星に戻ることができてわくわくしている。探査機の組み立て、一体化、テストは非常に順調に進んだ。フェニックスを着陸機外殻の中に入れ、あとは火星に到着するまでこの状態になる。」
フェニックスは、デルタIIロケットによりケープカナベラル空軍基地から火星へと打ち上げられます。打ち上げは、最も早いケースで8月3日の午前5時35分(現地時間。日本時間では同日午後6時35分)です。火星に効率的に探査機を打ち上げることができる機会はおよそ2年に1回巡ってきます。今年の地球と火星の位置関係は、着陸機を火星の北極地域に送りこむのに特に適しており、到着時には太陽光が最大の状態になっています。
「火星の北極域の平原は、次の探査にとって非常に適した場所だ。そして今こそ行くべき時だ。」と述べるのは、NASAのジェット推進研究所(JPL)の計画責任者であるレズリー・タンパリ (Leslie Tamppari)氏です。「私たちははじめて、火星の氷に直接触れることになる。これは、NASAの『水を追いかける』(follow-the-water)戦略にとっても非常に大きな飛躍になる。着陸機には太陽光が必要だが、ちょうど火星の春が終わった頃に到着し、その後3ヶ月間の基本探査期間を過ごすことになる。」(タンパリ氏)
フェニックスの打ち上げ準備は、NASAのケネディ宇宙センター内の施設で行われます。最初の検査はスピンバランスについてで、5月10〜11日に行われます。この後、熱望魚層地の取り付けが15日に行われ、分離テストが実施されます。次の山場としては、5月の第3週に行われる着陸レーダーの取り付けテスト、着陸システムの確認テストになります。5月の最終週には、大気突入/降下/着陸システムの確認テスト、そしてその後誘導・制御システムのテストが行われます。
打ち上げロケットはデルタII7925で、製造はデンバーにあるユナイテッド・ローンチ・アライアンス (United Launch Allinance)社です。ロケットは6月の第3週に、ケープカナベラル空軍基地の17-A射点に据えつけられる予定です。9つの外部補助固体ロケットブースタがその後取り付けられます。自燃性燃料を搭載した第2段ロケットは7月の第1週に据えつけられる予定です。探査機を搭載したフェアリング(先頭部分)はその後、移動式の発射塔内のクリーンルームで据えつけられます。
デルタIIについても技術者たちによりチェックが行われます。6月中頃には、燃料漏れのテストとして、ロケットの第1段に燃料である液体酸素を充填し、カウントダウンのシミュレーションを行います。その翌日には飛行テストのシミュレーションが行われます。これは、ロケットが発射されてからのイベントを、ロケットに燃料を搭載することなくすべて実施する、言わば「リハーサル」です。デルタII全体の電気系、機械系のテストもこの試験中に実施されます。フェニックスがロケットの先端に据えつけられるのは7月の第3週の見込みですが、この段階で、デルタIIとフェニックスの一体テストが行われます。このテストでは、打ち上げ前と打ち上げ後を通して、打ち上げ日に実施されるすべてのイベントを、燃料を搭載せずに行います。最終的に、打ち上げ1週間前には、デルタIIのフェアリングが探査機の外側にかぶせられることになります。

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