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マンガルヤーン
観測機器

マンガルヤーンには、合計で5つの観測機器が搭載されています。数としては一般的な月・惑星探査機並みで、11個もの観測機器を搭載した月探査機・チャンドラヤーン1に比べるとずいぶん少なくなっています。
これは、測定機器を厳選したと考えることもでき、また、火星探査機ということもあって、(月探査機ほどの余裕がないために)もっとも重要と考えられる測定器を搭載したということもいえるでしょう。

■ライマンアルファ線測光装置 (LAP)
火星上層大気中の水素及び重水素の量を測定します。重水素と水素の量の比(D/H比)を調べることで、火星大気から宇宙空間に水がどの程度逃げていったかを知る手がかりが得られます(重水素の方が水素より重いため、水が多く宇宙空間に逃げていった場合、重水素の方が多くなってきます)

■メタン検出装置 (MSM)
火星大気中のメタンの検出を行います。メタンは火星大気の中に微量ながら存在する可能性が指摘されており、この装置では10億分の1(ppb)レベルでの検出が可能な非常に高精度の観測が可能です。メタンの起源としては火星に存在するかもしれない生命が考えられており、メタンの有無やその量は、火星に現在でも生命がいるかどうかについての重要な手がかりとなります。

■火星外気圏中性分子分析装置 (MENCA)
火星大気中の中性子の量を測ることで、水の存在などの確認に役立てます。本装置は、チャンドラヤーン1の月面衝突装置に搭載された、高度別組成観測装置(MENCA)の改良版です。

■火星カラーカメラ (MCC)
火星の表層の様子の撮影や構成鉱物・岩石の測定などを行うための、3色で撮影することができるカメラです。マンガルヤーンでは、特に火星大気に関連した現象である気象現象などを観測することを重点に置いています。また、このカメラでは火星の衛星、フォボスとダイモスの観測を行うことも計画されています。

■熱赤外線撮像スペクトロメーター (TIS)
火星表面からの熱放射を捉えることが目的で、夜及び昼の温度を観測します。熱放射を行う熱赤外線は、火星表面の岩石や鉱物の組成によって特徴的な波長となるため、その波長を調べることで、火星カラーカメラと合わせて、火星表面の鉱物・岩石組成を知るための手がかりを得ることができます。

マンガルヤーンが搭載する5つの観測装置は、火星大気と火星表層の両方の観測のために厳選された装置になっています。一方で、マーズ・エクスプレスの観測によって検出されたメタンをより詳細に調べるためのメタン検出装置など、これまで、特に2000年代の火星探査の成果を反映させた内容ともなっています。
装置自体は非常にオーソドックスで、これまでの火星周回機に搭載されたものも多く、また軌道が楕円軌道であることもあり、観測チャンスが限られることから、どの程度の科学的成果が上げられるかは未知数ですが、メタン検出装置などの新しい試みや、カメラと熱赤外線スペクトルメーターとの組み合わせなどの工夫により、これまでの数多くの火星周回機でも得られなかったデータが得られ、火星の謎の解明に新たな手がかりを与えてくれることが期待されています。