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はやぶさ

小型ローバー「ミネルバ」

超小型で、ジャンプしながら移動

「はやぶさ」には、小型のローバー「ミネルバ」(MINERVA)が搭載されていました。
ミネルバは、わずか600グラム、大きさ10センチ四方という小型のローバーですが、その中に、通信や外部の観測など、衛星としての機能をすべて持っています。
ミネルバは、通常イメージされるような、車輪などで小惑星の表面を動くローバーではなく、内蔵のモーターを利用して小惑星表面をジャンプしながら移動する(ホップする)ローバーであるという点で、非常に特徴的です。
小惑星は重力が小さいため、小さな力でもジャンプすることができ、小惑星表面を自由に移動することができます。

民生品を利用した小型カメラを搭載

ミネルバには、小型のCCDカメラが3台搭載されています。このうち1台は遠くをみるためにセットされ、残り2台は近距離をみるように作られています。また、この近距離用の2台は、ステレオ視(2つの目でみることによりものを立体的にみること)ができるようにできています。
遠くをみるためのCCDカメラでは、小惑星に着地する前に、小惑星の様子を遠く(といっても数十メートル単位ですが)から撮影することができます。そして2台のカメラは、小惑星に降り立ったあと、表面の様子、特に細かい構造を立体視しながら観測することを目的にしています。
通常、宇宙に持っていくこのような部品は、宇宙の過酷な放射線環境などに耐えられるよう、あらかじめ強化された特別な部品か、宇宙用に強化された部品を利用します。しかしそのような部品はどうしても特別製になるため、高価になることが普通で、また実証されるまでに時間がかかることから、どうしても昔のもの(性能が落ちてしまっているもの)になることが多くなります。
ミネルバでは、カメラや搭載メモリなどに民生品(地球上で通常の製品などに使用されるもの)をベースとし、最小限の保護改造などを加えて使用しています。これにより、宇宙でも地球上と同じ、高性能の部品を使用できます。最近は民生品を利用する流れが宇宙開発でも多くなってきていますが、数億キロ離れた宇宙空間での民生品利用というのは大変珍しく、また大きな挑戦でもあります。

探査機から切り離されたあと、着地失敗

ミネルバは、「はやぶさ」本体が小惑星に落下しつつあるとき、探査機本体から切り離され、その下向きの加速度を受けて小惑星に着地します。そして自律的に動き回り、写真を撮るといった活動をする予定でした。
ミネルバは2005年11月、予定通り「はやぶさ」本体から切り離され、小惑星に着地する予定でした。しかし、探査機本体が上に動いているときに切り離されたことと、また小惑星からの引力が非常に弱かったため、小惑星から離れる方向に動いてしまい、結局着地することができませんでした。
しかしミネルバは、搭載していたカメラで、離れつつある「はやぶさ」の太陽電池パネルを撮影することに成功するなど、衛星として機能を果たしました。このような新技術へのチャレンジは、将来の惑星探査機の開発に大きく活かされることになるでしょう。



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