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日本地球惑星科学連合 2011年大会

毎年5月、千葉市の幕張メッセで開催される日本地球惑星科学連合の学会は、日本でも最大級の地球惑星関連の学会です。
日本地球惑星科学連合は、日本地震学会日本惑星科学会などをはじめとする、地球科学、惑星科学などに関連した48の学会(2010年3月現在)をまとめ上げている大きな連合体です。構成員は合計で7000人以上にも達します。
これだけ大きな連合体による学会ですので、その大きさは自ずと想像ができようかというものです。
今年は、東日本大震災の直後ということもあり、地震そのものの発表についても大きな注目が集まりましたが、私としては、やはり惑星科学、とりわけ、「はやぶさ」の回収カプセルについての発表がいちばんの注目でした。
私自身はなかなか多忙でこのところこの学会に行けなかったのですが、久々に今年は参加することにいたしました。以下、その記録です。


幕張メッセの会場入口です。以前は、この学会は、各学会の合同での開催だったことから「合同大会」と略称されていましたが、日本地球惑星科学連合が設立されてからは、その連合の学会となりましたので、現在の名称となっています。それでも、昔から通っている人たちの間では、「合同大会」の方が通りがよいため、私も含め、そのように呼んでいる人たちが多いのもまた事実です。
上にも書きましたが、今回の学会では、やはり東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)がもっとも注目されました。学会では緊急セッションが開かれ(全て日程が決まったあとに起きた地震でしたので、本当に緊急の開催でした)、多くの研究者が、この時点で判明していることについての発表を行っていました。
いうまでもないのですが、上の写真でも会場がぎっしりであることからもわかるように、このセッションの注目度はものすごいものがありました。聴衆だけではありません。写真のように、会場の後ろには多くのテレビカメラやカメラを持った記者たちが待ち構え、1つ1つの発表の内容をチェックしていました。
会場内の展示コーナー。地球惑星科学に関連した企業や大学、研究所などがブースを構えています。このような展示は、もちろん企業にとっては商売のきっかけになるのですが、それ以上に、人と人とのつながりを作るきっかけになっているという印象を受けました。それはまた、学会という、多くの人が集まるという場所ならではのことではないかと思います。
展示コーナーの一角にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の展示コーナーもあります。しかし、その規模の割には小規模なコーナーでした。基本的には惑星探査を中心としたコーナーで、宇宙科学研究所関連のコーナーといった趣でした。ただ、JAXA自体は地球観測でも大きな貢献をしているので、そちらの関連ももっと大きく扱って欲しかったというのが個人的な印象でもあります。
そのJAXAブースの一角に置いてあった「はやぶさ2」の模型です。先代「はやぶさ」の形をよく知っている人ほど、一瞬「どこが違うんだろう?」と迷うくらい似ていますが、これが2014年に小惑星1999JU3に向けて旅立つ…と思うだけで、ワクワクしてきます。
惑星科学に関するセッションももちろん行われていました。写真はちょうどセッションが終わったあと、座長さんとの打ち合わせをしている光景です。もちろん、写真に写っている人たちは皆、私の仲間の研究者たちです。
これだけ大きな学会なので、発表は口頭発表だけでは足りず、ポスターセッションという形でも行われます。しかし、そのポスターセッションにしてもものすごい数で、全てをとにかくみるだけでも大変です。ですから、あらかじめ興味がある発表、あるいはその分野の発表がある場所に行き、そこをじっくり見て回る、というのがいちばん効率のよい過ごし方になります。いつものように、ポスターの前では、発表者と議論を交わす研究者に姿がそこここに見られました。
ポスターセッションは、ときにはポスターの隣同士の発表者が、互いのポスターについて議論するということもあります。また、ふだんあまりお目にかかることがない(特に、1つの学会ではまず難しい)他の分野の発表を気軽にみることができる機会でもあります。私もかつて、地震学や地質学などを専攻してきたこともあるだけに、そのような分野の発表には、改めて興味を持って見入ってしまいました。
展示ブースの一角には、我が会津大学のコーナーもありました。こちらは、日替わりで場所を提供するコーナーで、学会の1日目と2日目には会津大学がこのコーナーを使えるということになっていました。私が所属する宇宙情報科学クラスターの紹介パネルなどを持ち込んで、大学の研究内容の宣伝や、高校生への紹介などをしていました。
「なぜ学会に高校生?」と思われるかも知れません。実はこの学会には、高校生のための特別セッションがあり、研究者に混じって、一般の高校生たちが研究発表のために訪れているのです。ちょうどその日にあわせて会津大学ブースが開設されたので、私たちもその高校生たちに向けて熱心に説明しました。特に地震直後ということもあり、「福島の大学」としての存在感を示すことができたと思います。右側は、研究内容について説明する、同僚の小川佳子准教授。
私がいちばん注目していたのは、学会5日目の「はやぶさ」のセッションでした。2ヶ月前のアメリカの月惑星科学会議(LPSC)での発表内容とほぼ同じということでしたが、私はそちらには今年は行かなかったので、ここで発表を聞くことになりました。ところが、この大会には珍しく、全ての発表が英語ということで、私もついていくのにかなり大変でした。スライドなどの撮影はできないので、会場の雰囲気ということで、聴衆の様子をご覧下さい。


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