- PSR1257+12と呼ばれるパルサーの回りには、3つの小さな物体が
公転していることが発見されました。この3つの物体にはそれぞれ
PSR1257+12A、PSR1257+12B、PSR1257+12C
という名前がつけられました。このうちの1つは月の大きさ程度、ほかの2つは
地球質量の2から3倍の質量をもっていることが
わかっています。
これらの物体が見つかったのは、パルサーのパルス周期の変動の精密な測定
からです。小さな惑星の重力の影響がパルサーのパルス周期の変動として
捉えられるわけです。この観測結果はほかの研究者によっても確認されま
したが、もちろん直接に惑星が写真に撮影されたわけではありません。
パルサーまでの距離が遠いことと、対象となる惑星の大きさが小さいので、
現在ある光学望遠鏡の限界を大きく上まわっています。
現在、これらの惑星は、パルサーを誕生させた超新星爆発のあと形成された
ものであると考えられています。というのも、惑星の公転軌道は超新星爆発の
前の末期の赤色巨星の半径よりも内側にあり、超新星爆発で吹き飛ばされない
とは考えにくく、また確認されているような離心率の小さな円形の軌道を
維持することは不可能であると考えられるからです。
このパルサーのまわりの惑星の存在はかなり確定的ですが、私たちが一般的に
“太陽”系について議論するときの惑星とは異なった性質のものです。
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画架座β星は、おそらく現在もっとも惑星をもつ可能性が高いと考えられて
いる恒星です。画架座β星には、恒星をとりまくディスクが存在すると
長い間、たぶん数十年にわたって知られてきました。
画架座β星の分光観測結果から、惑星の形成のあとに残された塵からなる
ガスの雲が恒星から放出される光を覆い隠すために生じると考えられる
吸収線スペクトルが観測されています。まだ確実な証拠であるとはとても
言えませんが、ある研究者グループはもうすでに惑星が形成されている
かもしれないと主張しています。
ハッブル望遠鏡が画架座β星を
観測しました(写真4)。この観測の結果、
ディスク(円盤)の厚さはこれまで考えられてきたものよりずいぶん薄い
ということがわかりました。ハッブル望遠鏡の撮影した画像から
求められたディスクの厚さは6億kmにしか過ぎず、従来の観測から
予測された厚さの約1/4でした。このディスクは、地球から観測すると
ほぼ真横に傾いて見えます。ディスクの厚さが考えられていたよりも
薄かったということは、ディスクが誕生したのはこれまでの推定よりも
古く、その結果恒星のまわりの塵やガスがより中心面へと降着できた
と解釈されます。また、ディスクの厚さが薄いということは、ディスク
内の密度がそれだけ高いことを意味するので、ディスク内で彗星程度の
大きさかそれ以上の天体が形成されているという可能性はずっと高まります。
これらの条件(ディスクが形成されてから十分な時間が経っていること、
ディスク内の物質密度が十分高いこと)は私たちの太陽系で誕生したときの
太陽を取り巻いていたと考えられるディスクの特徴として現在の理論で
考えられているものと同じであり、このことは惑星が形成されるために
必要な条件とされています。
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ボクグロビュール(Bok globule)として知られるガス雲の天体B335の電波
波長域での最近の観測によって、生まれたばかりの恒星(年齢約15万年)に
物質が吸着されていく様子が捉えられました。これらの観測は、どのように
して恒星や惑星が誕生するかを知る上で助けになっています。現在考えられて
いる太陽系生成理論では、大きなガス雲の塊が凝縮してまず恒星が生成され、
つぎに取り残されたガスや塵がディスクとなって、それがところどころで
集まって長い時間かかって惑星が形成され、太陽
のまわりを公転すると考えられています。観測された現象は、その現在の
太陽系生成理論と非常によく一致します。
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IRAS衛星(赤外線観測衛星)の観測から、ベガは予想されたよりも強い
赤外線を放射していることがわかりました。これは、おそらく月の質量
程度のダストの殻に起因したものであると考えられています。
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太陽系の近くにあるバーナード星では、惑星の重力の影響が観測によって
確認されたと一時考えられましたが、いまではそれは誤りであったと考え
られています。
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ペガスス座51番星を研究している研究者によって、太陽のような普通の
恒星のまわりを公転している惑星が初めて発見されたという発表がありました。
ペガスス座51番星は、地球から41光年の距離にあるG5型主系列星です。
イタリアのフィレンツェで最近開かれた研究会で、ジュネーブ天文台の
ミシェル・メイヤー(Michel Mayor)とディディエル・クエロッツ
(Didier Queloz)の2人は、ペガスス座51番星を高分解能分光計を使って
観測し、その恒星の視線方向の速度に4.2日周期で70m/秒の大きさの
変動があることを観測したと発表しました。もしこの変動が軌道運動による
ものであるとすると、惑星はペガスス座51番星から700万kmしか
離れていないことになり、少なくとも木星の半分の質量を持つことになります。
この軌道半径は、水星の軌道半径よりも小さいものです。これらの値は、
地球からの視線が惑星の軌道公転面に非常に近いと仮定して計算されています。
しかし、この仮定はおそらく正しい仮定のように思われます。というのは、
ペガスス座51番星のような恒星から700万kmの距離の場所の温度は
摂氏1000度以上の高温で、岩石が溶融する温度よりも少し低い程度に
なるはずだからです。おそらく大気はなく、地球の直径のおよそ7倍の
直径のほとんど溶けかかった鉄と岩石でできた惑星であると考えられます。
惑星の表面における重力は地球表面の重力のおよそ7倍です。
惑星の自転周期と公転周期はおそらく同じで、月が地球に対してそうである
ように常に同じ半球を恒星の方向に向けているものと考えられます。
この観測結果は、他の複数の研究者によって独立に確かめられました。
そして、さらに離れた軌道半径のところに2つめの惑星が存在することを示す
観測結果も得られています。ただし、この観測結果は確認されていません。
[ペガスス座51番星は双眼鏡で夕方の空にペガスス座α星とβ星の間に
簡単に見つけることができます。ペガスス座α星とβ星はペガスス座の
大四辺形を形作っている4つの星のうちの西側の2つのペアです。
2000年分点での座標は、赤経22h57m、赤緯20度40分です。]
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太陽系以外の惑星の画像を撮影することは非常に困難です。
ハッブル望遠鏡をもってしても
予測される恒星と惑星と間の距離を分解することはできないでしょう。
そのかわり、ハッブル望遠鏡は
オリオン大星雲
を背景としてシルエットとして浮かんだ恒星の回りのガスのディスクの
撮影に成功しました。(これは原始惑星円盤を意味する proto-planetary disks
からプロプライズ (proplyds) と呼ばれています。)これは、このような
天体がごく一般的に存在することのよい証拠です。しかし、そのみかけの
大きさは小さすぎて、惑星があるかどうかについてはなにも結論できません。
(最初の写真は、横幅がおよそ1天文単位
に相当します。)
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惑星の画像を撮影するのは困難ですが、状況によっては木星と同じ程度か
それより大きな巨大惑星からの赤外線の放射を検出することは可能かも
知れません。