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月を知ろう

月に関する研究発表
1999年度シンポジウム

SELENE、および次期月探査機の月着陸技術の概観

 本論文では、SELENE(2004年打上予定の月探査衛星)、および続いて計画されている次期月探査機における月着陸技術の概観を述べる。
 SELENEで計画されている月への軟着陸実験はいうまでもなく日本初の試みである。その開発に携わる立場で感じることは、月着陸機が衛星とは別個のタイプの宇宙機ということである。宇宙空間を慣性飛行するという点からは衛星であるが、着陸前の大推力減速、およびその過程での推力方向制御を考えると打上ロケットに近い。ロケットとの違いは、飛行の終端が「軟着陸」という点で厳しく拘束されていることと、「地球から遠方」ということで初期条件が正確にわからないということである。さらにいえば、打上重量の観点から着陸機の軽量化が強く要請され、地球からはなれた月での着陸プロセスは全自動で遂行される必要がある。
 月着陸を実現するシステムは多数の新規技術要素から構成される。システム実現のためには個々の要素課題の解決が不可欠である。一方で、これら多数の技術課題の全体像も、要素課題それぞれの位置付けや、要素技術間の関係から規定される境界条件を把握するためには重要だと考えられる。本論文では、月着陸における航法誘導制御を中心に関連項目も含めて技術課題を提示し、SELENEや次号機以降での対処・解決の考え方を示す。本論文が個々の関連要素研究の位置付けを知るための一助となればと考える。以下に本論文の構成を示す。
 2章では、月着陸ミッションの概要を示す目的で、SELENE計画とその軟着陸実験の概要を紹介する。つづく3章が本論文の中心となる。月着陸技術を航法、誘導、制御、関連機器、システムの5項目に分類し、それぞれについて、その技術課題とSELENEでの対処・解決法、次号機以降での技術発展の方向性を記述する。4章では、3章で項目別に示した将来の着陸技術に焦点をあて、現在検討が進められている次期月探査機の高精度着陸技術という観点から再整理して記述する。最後の5章がまとめとなる。

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