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月を知ろう

Q&A

国立科学博物館の月の石

アポロ17号で採取された月の石
国立科学博物館で展示されている月の石(アポロ17号採集分)

アポロ11号で採取された月の石
国立科学博物館で展示されている月の石(アポロ11号採集分)

月の石は2種類

国立科学博物館には、2種類の月の石が展示されています。1つは、アポロ17号着陸点で採集されたものです。右の写真の石がそれです。これも、直径50ミリメートルくらいのプラスチック片に埋めこんである小石です。これも、採集番号などがついていないため、どのような性質のものかは不明ですが、基本的には月の高地の石であると考えられます。
もう1つは、アポロ11号の着陸点で採集された月の石です。直径22ミリメートルのプラスチック片の中に、4個の石が埋め込まれた形になっています。いずれも大きさは4〜5ミリメートル程度です。ただ、これらの石には資料番号がついていないため、どのような性質の石であるのかがわからないという点が問題です。着陸地点が静かの海であることから、この石も月の海の石であることは確実であると思われます。
ご年配の方の中には、1970年(昭和45年)の万国博覧会で月の石をみた方もおいでかと思います。この岩石は、アポロ12号着陸点で採集された、結晶質の岩石(玄武岩)です。
月の石は現在、国立科学博物館の地球館地下3階、天文コーナーに展示されています。

アポロ17号で月へ飛んだ日章旗
アポロ17号と共に月へ飛んだ日の丸

月まで行った日の丸

月の石の展示と共に、国立科学博物館には、アポロにまつわる展示物がいくつかあります。その1つが、アポロによって運ばれた日章旗(日の丸)です。
右の写真の旗は、1972年の12月、アポロ17号によって月を1往復してきたもので、その翌年の1973年、アメリカのニクソン大統領(当時)より、アメリカ国民からの贈り物として日本国民に贈呈されたものです。現在、アポロ17号で採集された石と共に、展示されています。
また、アポロ11号によって月を1往復した日の丸の旗も、アポロ11号の石と共に、国立科学博物館に展示されています。
月に行くということは、アメリカというよりはやはり人類を代表した偉業ということになるのかも知れません。

アポロ11号で月まで往復した日章旗と、月の石 アポロ17号で月まで往復した日章旗と、月の石
アポロ11号の月の石と、11号司令船に搭載されて月まで往復した日本国旗。 アポロ17号の月の石と、17号で月まで往復した日本国旗。

大阪万博より前に科博で展示された「月の石」

万博に先立つこと約1年、1969年の11月25日に、日本で初めて月の石が公開されました。国立科学博物館で「月の石特別展」が開かれたのです。
ここでは、アポロ11号(この年の7月に人類初の月着陸を果たした)が持ち帰った月の石を中心にして、月の地図や宇宙飛行士たちの写真、月球儀、月面の写真などを展示したものです。当時、東京大学ではアメリカから送られて来た月の石の分析が進められていましたが、これらのサンプルのうち一部も展示されました。
「月の石特別展」は、11月25日から12月7日まで、約2週間にわたって開催されました。アポロ11号の月着陸の直後とあってか、関心が非常に高かったそうです。開館は午前9時でしたが、既に午前7時から行列ができる日もあったそうです。最終日は入場待ちの列が、入り口の外に600メートルも続いた(待ち時間は3時間)というエピソードが残っています。入場者は70,386人にも達したそうです。


■謝辞
本稿の作成にあたりましては、国立科学博物館の米田成一様にいろいろなご教示、情報のご提供を頂きました。この場を借りましてお礼申し上げます。

■写真について
写真提供: 国立科学博物館
上記写真の著作権は国立科学博物館にあります。国立科学博物館の許可なく本ページに掲載されている写真を複製、転載することを禁止します。

■関連ページ

■参考資料
  • 村山定男、日本に送られた月の石の展示をめぐって、自然科学と博物館、Vol. 38, pp. 26-33, 1971
  • 村山定男、「月の石特別展」について、自然科学と博物館、Vol. 38, pp. 29-40, 1970


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