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ローバー「キュリオシティ」 動力

キュリオシティの動力は、アメリカのエネルギー省から供給されている月・惑星探査汎用の放射性同位元素熱発電装置(MMRTG: Multi-Mission Radioisotope Thermoelectric Generator: 原子力電池)です。
この装置は、放射性元素が崩壊する際に出す熱を利用し、電気を生み出すものです。
装置の中核となる熱源としては、放射性元素であるプルトニウム238の二酸化物が利用されています。さらに、ここには熱電対と呼ばれる、熱を直接電気に変換する装置が取り付けられており、この装置により電気が生み出されます。
二酸化プルトニウムの量は約4.8キログラムで、内部の装置に電力を供給するほか、火星の夜には熱源として内部装置を温める役割も果たします。
なお、大きさは全体で直径64センチ、長さ66センチ、重さは45キログラムです。

これまで、原子力電池が使われてきた実績としては、アポロ計画、バイキング計画、パイオニア計画、ボイジャー計画、ユリシーズ計画、ガリレオ計画、カッシーニ計画ニューホライゾンズ計画があります。
今回の原子力電池は次世代型のもので、真空環境以外にも、大気がある天体(火星のような)でも運用できるようになっています。様々なミッションに対応できるようにモジュール型となっており、110ワットほどの出力が得られます。
今後、このような汎用型の原子力電池の開発方針として、より高い安全性、より長期にわたる出力(14年以上)の維持、サイズのコンパクト化が挙げられます。

二酸化プルトニウムが外に漏れないよう、従来の原子力電池と同様、今回の電池についても何層もの層で覆い、万が一の事態に備えています。また、耐衝撃試験も実施しています。また打ち上げ時にこれまた万が一の事態があったとしても、NASAとしてはプルトニウムが外に漏れたり、それが人体に吸収されることはまずないと考えています。また、このプルトニウムは核兵器に使われるタイプとは異なり、爆弾のように爆発はしません。
燃料体はセラミック状に加工されるため、非常に細かい破片となって飛散し、あるいは蒸発するなどして、それらが人体に吸収されるようなことがないようになっています。マーズ・サイエンス・ラボラトリーの打ち上げ時に事故が発生したとしても、人体が受ける放射線量は5〜10ミリレムであり、アメリカの自然放射線量(360ミリレム)に比べても非常に低い値であるということがいえます。

この原子力電池からの動力は、2つ搭載されているリチウムイオン電池に蓄えられます。これにより、電力の消費の状態に合わせて適切に電力を供給することができるようになっています。
リチウムイオン電池の蓄電能力は42アンペア時です。1火星日の間に、充電と放電を繰り返す形で運用されます。

(注)以上は、NASAが発行するマーズ・サイエンス・ラボラトリーのプレス向け資料を元に記述しています。

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