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ローバー「キュリオシティ」 ロボットアーム・小塔

キュリオシティのロボットアームの先端部には、2つの科学装置と3つの他の装置を収めた小塔(タレット: turret)が装着されています。ロボットアームは、この装置を内蔵した小塔ごと岩石などに近づけて、実際の分析を行うことができます。ロボットアームは動作方向として5つの自由度を持ち、各所にジョイントが設けられています。
小塔の重さは33キログラムもありますが、ロボットアームはそれだけの装置を動かせるだけのパワーを持っています。ロボットアームがまっすぐに伸びた場合、小塔はローバーの前の部分から1.9メートルの距離まで届きます。小塔自身は直径が60センチもあります。

小塔内に装備されている科学装置は、火星拡大鏡撮像装置 (MAHLI)とアルファ粒子・X線スペクトロメーター (APXS)の2つです。他の装置としては、サンプル採取/処理・移送システム (SA/SPaH: Sample Acquisition/Sample Processing and Handling system)があり、これらは、粉末採取用ドリル装置 (PADS: Powder Acquisition Drill System)、ダスト除去装置 (DRT: Dust Removal Tool)、その場サンプル分析用採集・移送装置 (CHIMRA: Colection and Handling for In-situ Martian Rock Analysis)の3つからなります。
粉末採取用ドリル装置は回転振動式のドリルシステムで、火星の岩石のサンプルを採取することができるようになっています。岩石の表面から5センチ(2インチ)ほど内部にあるサンプルをも採取できる設計となっています。ドリルが開ける穴の直径は1.6センチほどで、ドリルは岩石に穴を開けながら、サンプルを粉末状にしていきます。この粉末状のサンプルは、最終的にキュリオシティの火星サンプル分析装置、及び化学・鉱物分析装置に運ばれていきます。
このドリルシステムは、万が一岩石の中で刃がかんで動けなくなった場合にも、刃を切り離して代わりの刃をつけることができるようになっています。この場合には、ロボットアームを動かして、ローバーの前部にある箱の中から代わりの刃を取り出すことになります。

ダスト除去装置は、金属製のブラシを使ってちりを取り除くための道具です。岩石表面のちりだけでなく、ローバーの観察用トレイのちりも取り除いてきれいにします。
その場サンプル分析用採集・移送装置は2つの部分からなり、片方では貝殻のような形をしたスコップを使って火星の砂をすくい取ります。もう片方の部分にはサンプル処理を行うための各種装置があり、サンプルのふるい分けや選別、小分けなどの作業を行います。
この選別装置では、粒径1ミリメートル以上の粒子をふるい落とすことができるほか、さらに細かい粒子が欲しい場合には、150マイクロメートル以上の粒径の粒子をふるい落とすこともできます。
装置全体は振動することによってこれらのサンプルを試料室へと運びこむことになりますが、また、この振動を利用することで、サンプルの大きさを揃えることにも役立ちます。
最終的に、サンプルは3つあるサンプル投入口に送られます。2つは火星サンプル分析装置用、1つは化学・鉱物分析装置用です。この投入口は電動の蓋を装備していて、開け閉めすることができます。
観察トレイでは、小塔に装着された火星拡大鏡撮像装置やアルファ粒子・X線スペクトロメーターなどの装置を利用して直接サンプルを観察することが可能です。


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