日食の解説にもある通り、日食は、太陽を月がさえぎるために起きる現象です。 しかし、逆に、月の前を地球が通るということも当然ながらあり得ます。そうすると、どのようなことが起きるのでしょうか?
2009年2月10日、地球では月食が起きていました。このとき、月の周りを回っていた「かぐや」のハイビジョンカメラが捉えたのが、上のような、月からみた日食の写真です。 地球が太陽を覆い隠しているばかりではなく、一部太陽の光が漏れ出して、地球上での皆既日食の際によくみられる「ダイヤモンドリング」のような状態を作り出しているのを捉えることに成功しました。月における地球による日食の様子を撮影したのは、この「かぐや」がはじめてです。 なお、写真の赤い点線は月面です。このときはちょうど地球が月の表面から少し下の部分にいたために、太陽と共に地球も月面に一部隠れた状態になっています。
月によって隠される皆既日食とは異なり、地球によって隠される皆既日食では、地球の周りが明るく縁取られています。これは、地球の大気の効果だと思われます。大気があるため、太陽の光が散乱され、地球が明るく光っているということが原因なのでしょう。
上の写真は、月からみた日食の様子の連続写真です。太陽が地球に隠されたまま、月面から徐々に上ってきている様子がわかります。なお、写真はハイビジョンカメラで捉えられた映像を静止画に直したもので、いちばん左の状態からいちばん右の状態まで、約47秒かかっています。
上の記述でおわかりの通り、このときには月食、すなわち、太陽−地球−月がこの順番で並んでいました。しかし、このように並んだからといって必ず日食になるとは限らないということは、太陽−月−地球と並んだからといって必ず日食になるわけではない、ということと同じです。 その点では、今回「かぐや」が撮られた月からみた日食の映像は、たいへん貴重なものであるということがおわかりいただけるかと思います。