冥王星を探査し終え、次の目的地であるカイパーベルト天体探査へと向かっているニューホライズンズ、しばしの「休眠」となりました。
10日、ニューホライズンズチームは、ニューホライズンズ探査機が「ハイバネート」(冬眠)状態に入ったと発表しました。冬眠は4月7日からで、9月初めころまでこの状態になるとのことです。

冥王星上空を飛行するニューホライズンズ探査機

冥王星上空を飛行するニューホライズンズ探査機の想像図 (Photo: NASA/JHUAPL/SwRI)

より正確な時間ですが、アメリカ東部時間の7日午後3時32分、日本時間では翌8日の午前4時32分)とのことです。
この時点でニューホライズンズ探査機と地球との距離は約57億キロ、光の速さで往復しても10時間半以上かかります。つまり、地球から「冬眠せよ」という指令を送信し、それが探査機に伝わり、探査機側の返答が届くまで、10時間以上も待たなければいけないのです。いま探査機がいかに遠い距離にいるかわかると思います。

2017年4月10日現在のニューホライズンズ探査機の位置

2017年4月10日現在のニューホライズンズ探査機の位置。世界時で14時(日本時間では午後11時)時点での探査機の距離を示している。太陽からの距離は38.15天文単位(約57億キロメートル)、速度は太陽を基準にして秒速14.29キロ。冥王星からはすでに5.07天文単位(約7億6000万キロ)も離れている。光の速さでの往復には10時間33分14秒必要。(Photo: NASA/JHUAPL/SwRI)

探査機がこのような「冬眠」状態になる(される)のは、電気をできるだけ消費しないようにするためです。ハイバネート状態では、必要最低限の機器以外の電源が切られ、まさしく「冬眠」のように最小限の電気(エネルギー)しか消費しない状態となります。遠くまで長い距離を長い間飛行する探査機では、このようにしておけば電気を大幅に節約し、いざ探査に臨まなければいけないときのためにエネルギーをとっておけるというわけです。
ノートパソコンなどでも、よく電源は切らないが一部の機器を止めてしまっている状態(サスペンド)や、メモリーなどまで全てディスクに書き戻して電源を完全にオフにしてしまう状態(まさしくハイバネート)という状態にすることがありますが、これとよく似ていると考えてよいでしょう。
この状態でも、搭載コンピューターは稼働していて、月に1回、状態を地球に送ってくることになっています。また、目覚める方法ですが、あらかじめ「目覚まし時計」というか、タイマーがセットされていて、その指令により探査機は「目覚める」、つまり機能を回復することになります。

ニューホライズンズの運用担当マネージャーであるジョンズホプキンス大学応用物理研究所のアリス・ボーマン氏は、「ハイバネーション期間に探査の労力が減り、全体的な仕事量が減ることを期待している。2019年1月1日のカイパーベルト天体へのフライバイまではこの状態で行きたい。」と述べています。探査機の労力が減るだけでなく、探査機を見守る人の労力も減るというわけです。

ニューホライズンズ探査機も実は、地球から打ち上げられてからしばらくの間はずっとハイバネート状態でした。その状態から目覚めたのは2014年12月6日。冥王星に近づき、観測モードに入るためでした。それから約2年半にわたって、冥王星への再接近、そして詳細な観測をこなすなど、探査機は非常に「多忙」な状態に置かれていました。
次の大仕事は2019年1月1日、カイパーベルト天体である2014 MU69への最接近(フライバイ)です。逆にいいますと、冥王星最接近の例からみて、その半年前…おそらくは2018年中頃までは寝ていてもいいのですが、探査機は意外と早く目覚めます。

ニューホライズンズがこの冬眠状態から回復するのは、今年の9月11日で、たった(?)157日の冬眠でしかありません。それでも、探査機にとっても探査機を見守る人たちにとってもしばしのお休み、次のミッションに向けて気力を充実させることになるのでしょう。