日本では「宇宙の日」は9月12日です。これはなぜかというと、

  • 毛利衛宇宙飛行士による初のスペースシャトルによる宇宙飛行が9月12日
  • 飛行年が1992年なので「きゅう・じゅう・に」の語呂合わせから
ということがあります。
このほど、中国は4月24日を「宇宙の日」と定めると発表しました。
この日に合わせ、習近平国家主席が、中国宇宙開発についての重要指示を発表しました。人民網日本語版によると、「幾代もの宇宙事業従事者の奮闘を経て、中国の宇宙事業は原爆・弾道ミサイル及び人工衛星の開発、有人宇宙船の打ち上げ、月面探査などの輝かしい成果を上げ、自力更生・自主革新による発展の道を歩み、幅広く奥深い宇宙精神を築いてきた。『中国宇宙の日』を制定した目的は、歴史を銘記し、宇宙事業の精神を継承し、全国民、特に青少年たちの科学に対する尊重、未知の世界の探求、革新の勇気と情熱を喚起し、中華民族の偉大なる復興という『中国の夢』を実現する為に、強い力を集結することにある」とのことです。
これだけだと理由がわかりにくいですが、4月24日は、中国初の人工衛星、東方紅1号が1970年に打ち上げられた日です。この日に合わせて、習主席が述べたような「自主確信」を数sめ、「宇宙事業の精神を継承」し、特に若い世代に対し「未知の世界への探求」「確信の勇気と情熱を」呼び起こし、最終的には新しい中国を築く礎にしよう、というような意志を持っているということになるかと思います。
この日に合わせて、中国全土ではいろいろなイベントが(特に青少年向けに)開催されたようです。新華社の英語版の記事から写真をご紹介します。
中国宇宙の日に宇宙ステーションを手に説明する先生

中国宇宙の日に、宇宙船(神舟?)の模型を手に宇宙開発について説明する先生。河北省にて(写真: 新華社)

ロケットの模型を説明するボランティア

ロケットの模型を使って、飛行の原理を説明するボランティア。安徽省にて (写真: 新華社)

銀川市の宇宙展示館

寧夏回族自治区・銀川市にある宇宙展示館の様子 (写真: 新華社)

宇宙船の模型を眺める生徒

宇宙船(神舟?)の模型を興味深く眺める生徒。河北省にて。(写真: 新華社)

神舟10号の帰還カプセル

福建省南平市の宇宙技術展示館に飾られている、神舟10号の帰還カプセル。(写真: 新華社)

長征ロケットの説明

模型を前に長征ロケットの説明をする先生とその説明を聞く生徒。(写真: 新華社)

ロケットの模型を眺める子どもたち

中国開発のロケットの模型を眺める子どもたち。安徽省合肥市の科学技術博物館にて。(写真: 新華社)

射場模型と子どもたち

射場の模型をみて喜ぶ子どもたち。安徽省合肥市の科学技術博物館にて。(写真: 新華社)

さて、この「中国宇宙の日」に際して習主席が重要指示を出しているという点は注目すべきでしょう。重要指示を出すということは国家としての(あるいは中国共産党としての)意志であり、中国がこれからも宇宙開発を積極的に進めていくということを内外に示す狙いがあると思います。
と同時に、国内に対しても宇宙開発の成果を示し、これからのロードマップを示すことで、国民を未来へと駆り立て、引き締めるという効果も狙っているとは思います。特に、神舟・天宮といった有人宇宙開発計画(2013年以来行われていません)をフラッグシップとして、月探査、火星探査を2つの大きな柱とし、他の計画を着実に実行する…そのようなストーリーが考えられます。

後ほど記事にも書きますが、中国は火星探査を2020年に実現することが決まり、さらには月への有人飛行を2030年ころに実現するのではないかとみられています。その一方、国内経済の冷え込みなども指摘されており、宇宙開発をこれまで通り進められるのかという意見もあります。
今後の中国の宇宙開発については、小さな動きも見逃さずにみていくことが必要と思われます。

[英語] http://english.gov.cn/news/photos/2016/04/24/content_281475334261431.htm
  • 日本の「宇宙の日」のページ (一般財団法人日本宇宙フォーラム)
    http://www.jsforum.or.jp/event/spaceday/